「軍産複合体にもっとカネを」と主張するノーベル経済学者クルーグマンの無理筋

Mexico,City,-,November,6,,2013:,Paul,Krugman,,Nobel,Prize
 

2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン。コラムニストとしての顔を持つクルーグマンですが、彼が先月末に発表したとあるコラムがアメリカで物議を醸しているようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野さんが、「軍産複合体」に関するクルーグマンの主張と、それを真正面から批判するリベラル派の反論を紹介。その上で、クルーグマンの意見についての自身の率直な感想を記しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年11月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

リベラル派から大反論。ノーベル経済学者が「軍産複合体にもっとカネを」の妄言

ノーベル経済学賞受賞者でNYタイムズのコラムニストのポール・クルーグマンが10月31付同紙に「軍産複合体」と題して、その言葉を有名にしたアイゼンハワー大統領の1961年の退任演説の時代に比べて現在の軍事予算の経済全体に対する比重は遥かに小さく、ウクライナ戦争支援を煽っているのは兵器産業だといった急進左派の主張は間違っているという趣旨のことを書いていた。

私は、何を言っているんだ、これでは軍事予算を増やして兵器産業を潤してやれと勧めているようなものじゃないかと思ったものの、まあ彼はケインジアンの系統だし、軍事予算も“公共事業”の一種で財政支出による景気浮揚策として容認するのだろうなと皮肉に解釈し、そのまま見過ごした。が、案の定リベラル左派の「リスポンシブル・ステイトクラフト(責任ある政治活動)」というサイトを運営するクインシー研究所がこれを問題視し、11月3日付でウィリアム・ハートゥング同研究所上級研究員が「クルーグマンの軍産複合体論は間違っている」と題した反論を掲げた。

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