全ての日本人が拘束の危機。中国が「言いがかり」で外国人を次々と投獄する日

 

拘束・逮捕される理由がない人のほうが少ないという現実

台湾でも同様に、中国大陸で拘束・逮捕される台湾人があとを絶ちません。しかも、その理由も非常に恣意的です。たとえば、2019年にスパイとして拘束され、懲役刑を課された李孟居氏は今年7月に刑期満了で中国を出国しましたが、深セン出張の際に、直前に香港で入手した「香港頑張れ」というカードが、拘束のきっかけとなったそうです。

民主化運動の支援者だと当局にみなされたようですが、本人はそのような意味があるとは思わなかったとのこと。単に「I LOVE NY」と同じような意味合いのものだと思ったのでしょう。

いきなり拘束され、政治権利を奪われ、服役…台湾人男性が「反スパイ法」を「人質外交の合法化」と批判する理由

今年4月には、台湾独立を主張する政治活動を行ってきた台湾人青年が、中国で拘束されています。彼は2011年に台湾独立を主張する台湾民族党を立ち上げたメンバーでもありましたが、すでに政治からは手を引いていて、中国には囲碁を教える目的で訪れていたとのことです。中国国営テレビは、この男性が手錠をかけられて拘束されている様子を放送しましたが、これら一連の動きは、来年の台湾総統選挙に向けて台湾人を威嚇する目的があるのではないかと言われています。

中国が台湾人男性を政治犯として逮捕。台湾市民への脅しが目的か?

加えて今年の3月には、台湾の出版社「八旗文化」の編集長・李延賀氏が、病気の母を見舞うため上海を訪れたところで中国当局に拘束されました。李延賀氏は中国人ですが、台湾人の女性と結婚し、2009年から台湾に移住していました。台湾の戸籍も取得し、中国籍の放棄を申請していましたが、コロナ禍で除籍が猶予されていたところだったそうです。

台湾をジワジワと追い詰める…中国政府が「3年ぶりに本土を訪ねた編集長」をいきなり拘束した本当の狙い

中国当局は李延賀氏を拘束したことについて、「国家の安全を脅かす活動を行った疑い」と、例によってよくわからない理由を掲げていますが、台湾では「八旗文化」が、新疆ウイグルやチベット問題、天安門、中国官界の腐敗に関する書籍や、日本で出版された中国批判本の翻訳書を出版していたことが原因ではないかとも言われています。

台湾をジワジワと追い詰める…中国政府が「3年ぶりに本土を訪ねた編集長」をいきなり拘束した本当の狙い

要するに、本人自身が直接発言・執筆したわけではなくても、中国にとって不都合な内容の文章を扱っただけで、拘束される可能性があるということです。ですので、中国を批判する書籍を刊行したことのある日本の出版社社員が中国に行けば、拘束される可能性あるということなのです。中国に不都合なニュースや番組を放送したことがある放送局社員も同様です。もちろん、SNSで中国批判のツイートをリツイートしたことがあれば、それも拘束理由の証拠になるでしょう。

そのように考えると、拘束・逮捕される理由がない人のほうが少ないと言えるのではないでしょうか。

この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 全ての日本人が拘束の危機。中国が「言いがかり」で外国人を次々と投獄する日
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け