東京五輪“誘致”の買収工作費にも使われた「官房機密費」という自民が“自由に出し入れできる”カネ

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1月6日になりようやく能登半島地震に対する「非常事態宣言」を発令するなど、あまりの初動の遅さに大きな批判が集まっている石川県の馳浩知事。その馳知事と言えば東京五輪と官房機密費を巡る「失言」が記憶に新しいですが、そもそも機密費とはどのようなものなのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、機密費の正式名称やその種類、そして実際の使われ方を解説。さらにその管理状態を否定的に紹介しています。

プロフィール伊東 森いとうしん
ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

石川・馳浩知事の東京五輪「想い出アルバム作戦」で「機密費」の闇、再注目

石川県の馳浩知事が、東京五輪の誘致をめぐり、IOC(国際オリンピック委員会)の委員に対し、機密費を使い贈答品を渡したと発言した問題は、11月18日に知事は金沢市で取材に応じ、「事実誤認があった」としながらも、具体的な言及は避け、同じ回答を繰り返すばかりで、発言の真意に踏み込むことはない。

問題の発言は、同月17日に東京都内の講演であった(*1)。しかし、それが報じられると、同日夜、知事は「誤解を与えかねない不適切な発言だった」と発言を全面撤回する談話を発表した。

馳氏の当日の発言内容は、

「いまからしゃべることはメモも取らないでください。(安倍晋三元首相は)『馳、カネはいくらでも出す。官房機密費もあるから』って(笑)」

というもの(*2)。

講演のなかで馳氏は、105人のIOC委員らに対し、委員の選手時代の写真などをまとめたアルバムを1冊20万円で制作し、それを持って『世界中を歩きまわった』という。さらに、安倍元首相から『オリンピック招致を必ず勝ち取れ』と発破をかけられた言及。

つまりは、官房機密費を使い買収工作をおこなったと、自ら暴露したようなものだ。

また馳氏がつづったブログをたどると、2013年4月1日、当時の菅義偉官房長官に招致活動の方針を報告した際、大使館へのあいさつ回りやロビー活動とともに、「想(おも)い出アルバム作戦」を挙げたという記述が残る。

誘致のための海外出張を前にし、写真を扱う業者と打ち合わせをしたというくだりも。

目次

  • 「想い出アルバム作戦」「ともだち作戦」
  • 機密費とは?
  • 機密費の闇 メディア対策にも利用 戦前よりもひどい管理状態

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