どれぐらいお客さまが多いかと言うと、厨房を見ればわかります。
横長の5口コンロが2列あり、常に5口は稼働している状態です。
その横では天ぷらが揚げられ、後ろではうどん・そばが茹でられています。
職人さんが、かなりの手際の良さと無駄の無い動きを見せてくれます。
惚れ惚れするほど、見入ってしまいます。まさに、繁盛店の職人さん。
出来上がった料理は、どれもこれも、見るからに美味しそうです。
ファンや常連さんが多いのも納得です。
しかし、このお店は大阪らしからぬところがあるのです。
値段が高いのです。
「にしん 1150円」「かやく 900円」「天ぷら 1100円」「穴子天 1180円」「山かけ 1230円」「すじ肉 1420円」など。
大阪のうどん屋さんで、この値段を掲げているお店は、まずありません。
シビアな大阪人が、どうしてファンになるのでしょうか。
24時間営業だから?年中無休だから?
それもありますが、やはり「美味しいから」なのです。
味にうるさく、お金にシビアな大阪人が、この金額を出してでも食べてしまうのは、それだけ魅力を感じているからです。出す価値があると認めているからです。
消費者の心理として、「旨いけど、高い!」と感じたら、二度と行きませんが、「高いけど、旨い!」と思うお店は、リピートしてしまいます。
「旨い!」が後に来るのは、旨い印象が強く、値段以上の価値があると判断したのです。
このお店は、大阪人にとって、身近で安価なうどん・そばを「高くても、旨い!」と位置づけさせた、類稀な事例だと言えます。
商品価値が高ければ、値段が高くても売れるということです。
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