4日におこなわれた第49期「棋王戦」五番勝負で、引き分けに当たる「持将棋」が成立した藤井聡太竜王(21)と挑戦者の伊藤匠七段(21)の戦い。二人は同じ2002年生まれの同い年で、小学生時代から面識のあるライバル同士です。彼らのように「将棋が強い人」は、普通の人とどんなところが違うのでしょうか? 今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』で本のソムリエさんが紹介するのは、そんな藤井聡太竜王の「名言」ばかりを集めた一冊です。あなたは、将棋が得意ですか?
【一日一冊】藤井聡太の名言 勝利を必ずつかむ思考法
桑原晃弥・著 ぱる出版・刊
藤井少年は将棋が好き
史上最年少で四段昇段、その後無敗で公式戦最多29連勝、そして史上初の八冠全制覇の藤井聡太さんを研究してみましょう。まず、藤井少年は将棋が好きでたまらなかったということ。そして、家族も将棋に打ち込む藤井少年を応援してくれたことが大きいとしています。
普通なら「好きだからと将棋だけさせていいのか」と考える人が多いと思いますが、5歳で将棋教室に入り、小学1年生で研修会に入会しています。そもそも将棋をはじめたのは、祖母が「子どもにテレビを見せない」という方針で、孫たちのために「スタディ将棋を」用意して、それに5歳の藤井が興味を示したのです。また、幼稚園では子どもの自主性を重んじるモンテッソーリ教育を取り入れているところで、教育に熱心な家庭で育ったと考えられます。
- 「毎日将棋が指せるから、早くおじいちゃんになりたい」と言って周りを驚かせた(p20)
藤井少年は負けず嫌い
藤井聡太の特徴は、負けず嫌いであるということでしょう。小学生の頃、将棋に負けると相手がプロだとしても泣き出したという。負けて悔しいという気持ちが強いのです。プロになっても負け将棋となったときの落ち込みぶりは、うつ伏せになったりオーパーリアクションで面白いくらいです。藤井は小さい頃から、負けたら勝つまで続けるのが癖だったというのです。
負けて悔しいからこそ、そのパワーを反省して次への教訓につなげているのです。反対に、悔しい気持ちを引きずらず、「忘れて」次に進むことも大切としています。将棋に勝ってやる気を出し、将棋に負けてやる気を出すのが藤井聡太なのだと思いました。
藤井自身、「自分は負けたら勝つまで続けるというのが、けっこう昔からの癖だったので」と話している(p31)
気晴らしに詰将棋
暇があったら詰将棋をしているという藤井聡太さんは無敵だと思いました。気晴らしに詰将棋をしているというのですから、ストレスがないのです。私たち会社員も仕事が好きで好きでたまらないというふうになれば無敵なのでしょう。
なかなかそうした気持ちにはなれませんが、自分の仕事に工夫をえることで面白味が出てくることもあると思いました。藤井聡太さんの爪の垢を煎じて飲みたいと思います。
桑原さん、良い本をありがとうございました。
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