ちなみに、そうは言いながら、この原稿を書いている最中に、バイデンが中国製のEV、半導体、リチウムイオン電池、太陽光パネルなどの関税を大幅に引き上げる、という報道がありました(下図参照)。これも、大統領選挙に向けて、中国との関係修復を図りながらも、それが逆に国内で中国に対して弱腰との揚げ足を取られないための動きだろうと思います。

結局、岸田首相は、「国賓待遇」とおだてられながら米国にこれまで以上に重い軍事負担を約束し、中国を怒らせるために訪米したようなものです。日本の対中強硬路線に怒った習近平は、前代未聞の対日政策を繰り出しています。中国の元慰安婦の遺族団体が、中国で日本政府を提訴し謝罪と賠償を求めていることが4月22日の報道で明らかになりました。中国人の元慰安婦をめぐって日本政府が中国で提訴されるのは初めてのことです。習近平は、日韓の長年の懸案である慰安婦問題に中国側からも参入して、急接近している日韓の引きはがしを狙っているものと思われます。
いうまでもなく、外交とは国益の追求が目的です。しかし、岸田首相の外交は、国益よりも自身が首相として延命するための手段とすることが目的になってしまっているように思います。「外交の岸田」などというのはただの虚像にすぎません。
個人的な欲望のために、敗戦後の実質的な宗主国とはいえ、米国に過度に擦り寄り、言われるがまま平和憲法を無視して軍拡に走り、本来であればニュートラルな立ち位置を保つべきところをウクライナ政府に肩入れしてロシアを敵に回し、加えて無駄に中国をも怒らせるという失態を演じた結果、最も危険に晒されて被害を受けるのは日本国民で、まったくたまったものではありません。「あなたは一体どこの国の首相ですか」と改めて問いかけたい思いです。
トランプの優勢が伝えられる中、バイデンの命運が尽きるのが先なのか、岸田首相の命運が尽きるのが先なのか。日本の自民党総裁選は9月、その前に衆院解散があるのかないのか。そして米国の大統領選は11月です。少なくとも、年末までには、バイデン大統領も岸田首相も、政治の表舞台から姿を消している可能性は高いと思います。そう考えると、4月の岸田首相の訪米の意味とは、一体何だったのでしょうね…。
※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~ 』2024年5月17日号の一部抜粋です。つづきに興味をお持ちの方はこの機会にぜにご登録ください
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