Google日本元社長が評価。あの日本経済新聞が岸田政権に「苦言」を呈した“大きな意味”

tk20231027
 

国の未来を見据えているとは思えぬ、その場しのぎの政策を連発する岸田政権。先日も突如「所得税減税」の方針を打ち出しましたが、これに日経新聞が他紙に先駆けて社説で苦言を呈し、その存在感を見せています。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、「追及が中途半端な感はあるものの、大手メディアがはっきりと苦言を呈したことの意味は大きい」と評価。その上で、政局のために基幹税に手を出す首相を厳しく批判しています。

日経新聞が指弾。増税●●メガネに大手メディアが呈した苦言

ここのところ、権力に飼い慣らされてきた感の強い大手メディアですが、10月21日の日経新聞が『岸田文雄首相の所得減税指示は疑問だらけだ』という社説を掲げていて、思わず目を引きました。

「増税メガネ」と呼ばれることを異常なくらい気にしているという岸田首相は、いきなり所得税を対象とした減税を言い出し、23日から始まった今国会でも争点になると思われますが、岸田首相の脈絡のない迷走ぶりを批判する内容となっています。

「人気取りにもほどがある。」という書き出しで始まるその社説は、いつになく厳しいトーンで岸田首相を批判しています。それを読んで、私は思わず以下のようにX(旧ツイッター)へポスト(ツイート)しました。

突っ込みがまだまだ中途半端な感はあるが、珍しく #日経新聞 が社説で首相に苦言。世論に迎合しているだけかもしれないが、指摘すべきは遠慮会釈なくどんどん指摘して欲しい。

社説の要旨は、「岸田首相が、10月末に策定する経済対策の柱として、時限的な所得税減税の検討を与党幹部に指示した。経済成長で増えた税収を国民に還元すると言うが、必要性にも一貫性にも欠けるバラマキは止めるべきだ」というものです。

さらに、「増税論者とみなされるのを気にするあまり、22日の衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の補欠選挙に向けた単なる人気取りではないのか。昨年、防衛費の増強を決めて増税を見込んでいるのに、ここで減税を進めようとするのは矛盾している。足元の経済対策と基幹税見直しの議論は切り分けるべきであり、場当たり的な減税に走るのは無責任だ」と指弾しています。

まことにごもっともな指摘です。岸田首相は、減税を物価上昇に賃上げが追いつくまでのつなぎと位置付けるそうですが、手続きとしては、与党の税制調査会で年末までに詳細を決め、関連の法案を成立させねばなりません。成立しても、恩恵が生じるのは来春以降になる見込みで、消費ではなくて貯蓄に回る可能性もあります。また、「賃上げが追いつくまでのつなぎ」とは、まさに場当たり的ですし、賃上げが簡単に実現できるとでも思っているのでしょうか。

物価高対策ということであれば、消費税を下げる方が簡単で効果的と思われますが、それには財務省が抵抗するので、時限的な所得税減税という奇策を持ち出したのでしょう。しかし、その後の報道では、一人当たり年間4万円程度で検討するということで、これでは物価高対策にも景気浮揚にも到底つながりそうにはありません。

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