偽造防止機能強化 過去には北朝鮮が偽米ドル紙幣を製造
映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』では、身代金の紙幣番号を記録するためにコピーを提案するシーンがあるが、結局実行はなされなかった。
刑法第148条では、通貨偽造罪として「行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する」と定められている。
また通貨及証券模造取締法では、紙幣や貨幣に紛らわしい外観を有するものの製造や販売が禁止されている。
現代のコピー機には、紙幣をコピーしようとすると警告を出す機能が搭載されている。コンビニエンスストアなどの公共のコピー機にも、同様の自動判別や警告機能が備わっている。
新紙幣には、世界初の3Dホログラム技術が採用。このホログラムは、紙幣を傾けると肖像画が回転するように見え、見る角度によってパターンが変化。この技術は、紙幣の偽造を非常に困難にする。
なお、過去に北朝鮮は高品質なスーパーノートという偽100ドル紙幣を製造・流通させていると米国政府から非難された。スーパーノートは本物と見分けがつかないほど精巧で、特殊な検査機器がないと発見が困難という。
少なくとも4,500万ドル相当のスーパーノートが流通していると推定されている。
デジタル通貨の議論も進む
新しい紙幣の導入に伴い、デジタル円、すなわち中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入に向けた議論も進んでいる。
デジタル円は、スマートフォンのアプリやQRコードを利用して電子的に取引を行う通貨であり、現金の印刷や流通コストを削減することが期待。
日本銀行は2023年にパイロット実験を開始し、将来的な実用化を視野に入れている状態だ。
現在、世界経済の98%を占める134カ国が現在、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に向けた動きを見せている。そして、その半数以上が、高度な開発、テスト、または実装段階に。
G20諸国のほとんどが後期開発段階にある一方で、米国は遅れをとっている。
一方、デジタル通貨の導入は、プライバシーの保護、セキュリティの確保、既存の金融システムとの共存など、多くの課題も生む。
政府と日本銀行は、デジタル通貨が導入された場合でも現金と共存させる方針を示している。これは、スマートフォンの利用に不慣れな高齢者や災害時の決済手段として現金が依然として重要な役割を果たすためだ。
新しい紙幣の発行は、日本の技術力を示すとともに、キャッシュレス化とデジタル通貨の導入に向けた過渡期を象徴している。
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(『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』2024年7月7日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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