「米を食べるとバカになる説」を真に受けて稲作文化をバカにした「令和の米騒動」の真犯人

 

なぜ米を食べるとバカになるのか

参考》「米を食べるとバカになる林髞教授説要旨

■林著『頭脳』P.155~161

頭の働きにはどうしても蛋白質が必要で、その蛋白質の分解つまり眠りによる回復にはどうしても炭水化物が必要だということになる。その上に、つぎのことがわかってきた。脳髄が働くには蛋白質が分解してできる窒素化合物であるプラス物質とマイナス物質が必要で、プラス物質が生ずるのにはビタミンB1、B12、それにおそらくビタミンB類のうちのパントテン酸が必要である。同様にマイナス物質をつくるにはビタミンB6が必要である。これらのうちとくに必要なのはB1である。

もしこれらビタミンB類が欠乏すると、頭の正しい働きができなくなる。そして、一種の気ちがいが生ずることがわかってきたのである。

さて、脳髄は、子供のときからじょじょに発育し、およそ24歳まで(おそい人は27歳ぐらいまで)ずっと発育する。その発育の途中で、これらのビタミンB類が不足すると、脳髄の働きがわるいまま発育してゆく。ちょうど、生まれてまもなくから毎日膝を折ってすわりつづけていた日本人が、身長が低く育ってしまうのと同じで、発育の途中にB類が絶対に必要である。私どもは子供を育てている母親たちに、とくにこのことを注意していただきたいと願わすにはいられない。

私たちが主食を作り、用いるのに、生命のために一番よい形のものを選ぶべきである。

いま、全世界の国々がなにを主食としているかを見てみると、イギリス、フランス、イタリア、スエーデン、ノールウェー、チェコ、ソビエト連邦、アメリカ合衆国、アルゼンチン、チリなどの国々は、小麦(すなわちパン)を主食としている。

これに対して米(すなわち白米)を主食としている国々が一方にある。それは、日本、中国、フィリピン、ベトナム、ジャワ、スマトラ、インド、パキスタン、アルジェリア、エチオピア、ホッテントットなどである。

この2つの主食のちがいはどこにあるかというと、小麦は、胚が中にあって、そのまわりにビタミンB類があるので、精白してもビタミンは失われない。しかるに米は、胚が外がにあって、そのまわりにビタミンB類があるから、精白するとまったくB類欠乏食になる。いっそう注意すべきことは、ビタミンB類のうちのもっとも重要なビタミンであるB1は、平圧ではいくら煮てもそのままのこる。ところが高圧(1.2~2気圧以上)にすると、たちまち、こわれてなくなる性質があるので、玄米でも、胃腸を害さずに食べるように煮れば、全てビタミン欠乏食となってしまうことである。

さてこういうわけで、私ども日本人は、いままでビタミンB類欠乏食を主食としてきたのである。だから、他の食物や野菜からわずかにB類が補給されただけであった。それで、脚気(白米病)にかかる人が多かったのである。

であるから、B1があっても、白米を食べてその消化に用いられてしまうと、頭の方で用いるのに不足する。それで、日本ではいつも不足がちの働きしかしない頭脳のままで成長発育するから、大人になってからたいへん不都合なことが起こっていることは、よく理解できる。

そこで、主食として白米を食するということは、とくに少年少女のためにたいへんなことであると考えなければならない。

どうしたらよいか。これはせめて子供の主食だけはパンにした方が良いということである。大人もできればそうしたいが、日本ではそれはなかなかたいへんであろう。とくに農業立国の国であり、米を食わないとなると血の雨が降らずにはすむまい。だから、そういうことはこわくて言えない。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2024年9月16日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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