待つのは悲劇、幸福な「ガラガラポン」は存在しない
日本がIMF管理下となれば(管理できるとして)どう考えても、最大の債務である年金と健保はメスが入るでしょう。具体的には円の価値低下の影響を救済しない形で、債務を処分してゆくことになるのだと思います。
そうなったら、多くの高齢者だけでなく、現役世代も含めて信じられないような生活水準の切り下げを強いられることになるでしょう。そして、そのような事態を回避することが、当面の政治の課題であると思います。
そう考えると、財政規律かリフレかという二分法は、実にナンセンスであるということが分かります。奥能登には投資しなくてはなりません。規制は緩和すべきです。そして、何よりも全体が少なくとも成長するようにしなくてはなりません。そして個人も企業もこれ以上の海外逃亡、空洞化には制度でストップをかけるべきです。
安全保障についても、財政政策についても「実施可能な範囲」というのは実は相当に狭いのだと思います。その狭いゾーンを外さないようにするには、実は大きな努力を要します。今ほど、政治の責任が問われる時代はないのかもしれません。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2024年10月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。今週の論点「人前で称賛されるのがイヤな世代」「MLBポストシーズン開幕前夜、既に大盛り上がり」もすぐ読めます
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