自民党への配慮と来年参院選の間で板挟みになる玉木氏
ところが、自民党はその趣旨を無視し、企業・団体献金をもらい続けてきた。
2022年の企業・団体献金の総額は約127億円で、うち自民党が約117億円を占めている。残りは、立憲民主党約5億円、国民民主党約2億円などだ。「企業・団体献金がなくなるときは自民党が終わるとき」という某自民党幹部の声も、あながち大げさとはいえない。
11月28日、石破首相は岸田前首相の事務所を訪れ、2人きりで会談した。そのさい岸田氏は企業・団体献金について、「禁止するのは反対」との考えを伝えたと報じられている。
カネで政治を動かすのを常套としてきた自民党がやすやすとこの巨額集金システムを手放すとは考えられない。
だが、この国から金権政治を一掃するには企業・団体献金の禁止は必須条件だ。それには立憲、維新、共産、れいわに加え、国民民主の“戦線参入”が欠かせない。
だが国民民主は先述した党内事情に加え、「103万円の壁」を178万円の目標に近づけるため、交渉相手の自民党に配慮しなければならない事情がある。
今後、公式の場で立憲の野田代表から企業・団体献金を禁止する法案の共同提出を求められた場合、国民の玉木代表は苦しい立場に追い込まれるだろう。それを断って、政治改革に後ろ向きだと世間に受けとめられたら、来夏の参院選に響くのは間違いない。
与党にも野党にも等距離で向き合い「対決より解決」をめざすと公言する玉木代表だが、その理念通りに進めるのは容易ではなさそうだ。