暴君トランプが国際社会に送ってしまった「ホルムズ海峡課金」という誤ったメッセージで中国とロシアが得る“漁夫の利”

 

【変質するアメリカ─「世界の警察」から「世界秩序の設計者」への転換は起こるのか─】

2026年のアメリカ外交を理解するうえで最も重要なのは、「孤立主義か国際協調か」という二項対立ではありません。真に問われているのは、「アメリカはどの国際秩序を維持する意思があり、どこまでそのコストを負担する覚悟があるのか」という問題です。

冷戦後のアメリカは、「世界の警察」として圧倒的な軍事力を背景に国際秩序を支えてきました。しかし現在では、その役割を全面的に維持することへの国内的な支持は弱まりつつあります。これはアメリカの衰退ではありません。国家戦略そのものの優先順位が変化しているのです。

1.リンゼー・グラハム氏急死の衝撃

この一週間で米国内政治に最も大きな衝撃を与えたのは、7月11日に急死した共和党上院議員リンゼー・グラハム氏の訃報です。同氏はウクライナとイスラエルの強力な支持者として知られ、対イラン強硬派の筆頭格でもありました。2月28日の対イラン攻撃開始に際しても、ネタニヤフ首相とともにトランプ大統領に決断を促した人物とされています。

死去の前日までキーウを訪問していたことから、ロシアによる関与・工作を疑う声も一部にありますが、これは未確認の憶測の域を出ません。

むしろ重要なのは、トランプ大統領とイスラエル・ウクライナ双方を結ぶ「稀有な結節点」が失われたという事実です。同氏に代わる存在は容易には見当たらず、これによりトランプ政権の対外介入主義がさらに後退する可能性が指摘されています。

2.イスラエルへの視点の変化──ギャラップ調査が示すもの

米国内では、イスラエルに対する視線そのものが変化しつつあります。

2023年10月7日以降、7万人を超えるパレスチナ人の犠牲者を出してきたイスラエルの軍事行動に対し、厳しい見方が広がっています。ユダヤ系米国人や、伝統的に親イスラエルの傾向が強いとされる民主党支持層・リベラル層の間でも、対イスラエル感情の悪化が見られます。

共和党内でも、「イスラエルはアメリカを戦争に巻き込み、資金と人的犠牲を強いる国だ」というイメージが徐々に広がりつつあります。

そして米ギャラップ社の調査(ただし、2026年2月に行われた)では、ついに史上初めて、パレスチナへの支持がイスラエルへの支持を上回るという結果が示されました。これは、米国の外交政策における「不動の前提」の一つが揺らぎ始めていることを意味します。

3.国内政治が外交戦略を規定する時代

アメリカ外交は長年、「超党派」で一定の継続性を保ってきました。しかし現在では、財政赤字、インフレ、移民問題、製造業の空洞化、社会的分断といった国内課題が、外交政策の選択を大きく左右するようになっています。

その結果、「どこで戦うか」よりも、「どこには関与しないのか」という判断が、以前にも増して重要になっています。

4.予測不可能なアメリカ

2026年の中間選挙を控えた補欠選挙では、民主党が共和党の牙城とされるテキサス州やフロリダ州も含め、多くの勝利を収めています。仮に民主党への政権交代が実現すれば、再び国際協調路線への回帰が予想されますが、実際にどうなるかは予見し難いところです。

むしろ問題の本質は、トランプ路線が物価高問題を解決できず、不要な戦争によって米国を消耗させ、対外的なプレゼンスを著しく低下させたという認識が広まれば、共和党内の伝統的な保守層が勢いを取り戻す可能性がある一方で、政権がどちらの手に渡ろうとも、アメリカはますます「予測不可能な国」になっていくという現実そのものにあります――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年7月17日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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