テレワーク普及でコミュニケーションは今後どうなってしまうのか

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新型コロナウイルスの影響によりテレワークが広がり、緊急事態宣言が解除されても引き続き出社せずに自宅で仕事をしているという会社員の方も多くいます。そうした人たちから聞こえてくるのは、コミュニケーションの難しさ。一方で、直接会う現場に圧を感じてしまうという人にとっては快適な環境を獲得できたとも言えます。どちらのタイプの人も不都合を感じないコミュニケーションは可能なのでしょうか。コロナ以前から障がい者の18歳以降の教育のために遠隔講義を推進してきた引地達也さんが、メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』で、1つの考え方を示します。

テレワークのコミュニケーションは補完ではなく拡張と考える

新型コロナウイルスの影響で新しい社会変革が求められる中で、外ではソーシャルディスタンスを維持し、中ではテレワークを使った働き方に誰もが戸惑いつつも、否応なく受け入れなければならず、そのストレスを多くの人は緊急事態の時限的な措置との解釈に落とし込んでいるようにみえる。

ワクチンが開発され、新型コロナウイルスが危機でなくなった時、ソーシャルディスタンスから解放され、テレワーク・テレコミュニケーションからメディアを介さないコミュニケーションが再度中心になる、と。

特にテレワークでの不便さは、これまで対面を基本にしていた人には致命的で「会って話す」が基本との感覚は根強い。そして多くが、対面コミュニケーションが出来ないための補完機能としてテレコミュニケーションを考えがちである。しかしながら今の状態を「私たちの身体の拡張機能」として捉えれば、積極的なコミュニケーションとして受け入れ、行動が創造的になるのではないかと考えている。

これはメディア学の大家マーシャル・マクルーハンの「メディア論」からの発想である。マクルーハンはメディアに関する2つの大きな定義づけをしている。「すべてのメディアが人間の感覚の拡張である」「メディアはメッセージである」は代表的な主張だ。

「いかなるメディア(つまり、技術)の場合でも、その『メッセージ』は、それが人間の世界に導入するスケール、ペース、パターンの変化に他ならないからである。鉄道は移動とか輸送とか車輪とか線路とかを人間の社会に導入したのではない。それ以前の人間の機能のスケールを加速拡大し、その結果まったく新しい種類の都市や新しい種類の労働や余暇を生み出したのである」(メディア論)。

メディアの発展は私たち自身と社会の欲求によって生まれた。そのメディアは「私たち」である。私たちの拡張したいという意思とその結果と考えると、現在行われているテレワークのコミュニケーションはメッセージを相互交換するための、今現在の私たちの姿である。

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