在日米軍基地は緒戦で壊滅か。バイデン政権も認める中国軍の真の実力

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トランプ前大統領がかき乱した世界各国との関係や地域の安定を修復すべく、20日に就任するや早速職務を精力的にこなし始めたバイデン新大統領。注目される対中関係、そしてアジア政策はどのような変化を見せるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、新政権でアジア政策を統括するカート・キャンベル氏の論文の要旨を紹介しつつ、米中関係と日本の今後の読み解きを試みています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年1月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

バイデン政権で米中関係はどうなる?――キャンベル論文に見る微妙なニュアンス

バイデン政権がスタートしたが、真っ先に取り組まなければならないのはトランプ前政権によって引き裂かれた米国社会の傷をどう修復するかであり、外交の立て直しに手を着けるのはしばらく先のことになるだろう。しかし我々としては、同政権のアジア政策、とりわけ中国との関係、それとの関連で日本との関係がどうなっていくかを検討し始めなければならないだろう。

総じてバイデン政権の外交シフトは、前政権とは打って変わってプロフェッショナルな、国務省人脈中心のオーソドックスなもので、酔っ払いの大男が喚き立て暴れ回るような、世界にとって危険な有様がすぐにでも解消されることだけは間違いない。

※ 図/ジョー・バイデン新政権の顔ぶれ

中国は本当のところ敵なのか味方なのか?

まずバイデン大統領自身が上院きっての外交通で、長く上院外交委員会に属し2度も委員長になったし、オバマ政権では副大統領として特に外交面から大統領を支えた。米NYタイムズによると、副大統領時代のバイデンは2011年初めからの1年半に、国家副主席だった習近平と少なくとも8回会っていて、特に11年8月の訪中では北京から四川省成都にまで足を伸ばした6日間の長旅に習が付き添い、密接な個人的関係を築いたという。

そのため、バイデンは「親中派だ」という見方があるが、それは余りに短絡的で、彼が昨年夏に発表した選挙綱領では、中国による経済や安全保障、人権に関する重大な懸念に対しては「明確、強力かつ着実に押し返して行く」と明言する一方で、中国からの挑戦は「基本的に軍事的なものではない」としてお互いに制裁関税を乱発するような「新冷戦の罠」には嵌らないと宣言。そして、気候変動や核不拡散など利害が一致する分野では協力を進めるとも言っている。

これじゃあ一体どっちなのか分からないという声が聞こえてきそうだが、トランプ政権が陥りがちだった敵か味方かのゼロサム思考から決別して、是々非々というか、分野や問題によって協力できる場合と対抗する場合とを使い分ける大人の態度に戻るということだろう。これについて巧い言い方をしているのはステファン・ナギー国際キリスト教大学准教授で、1月24日付「ジャパン・タイムズ」の長い論説「バイデンは中国にどう対処するか?」の中で、「バイデンは米中関係を、《競争》と《協力》と《レッドラインをはっきりさせた対抗》という3つの分野に分けて再構築しようとしている」と指摘している。分かりやすい定義である。

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