大揺れ韓国。電撃辞任の韓国検事総長が文在寅に投げつけた爆弾

kp20210310
 

以前掲載の「文在寅の大誤算。覆された検察総長の懲戒と自身に伸びる捜査の手」等の記事でもお伝えしたとおり、自身に対して不都合な動きを取り続ける検察総長の力を削ぐことばかりに勤しんでいた文在寅大統領ですが、ここに来て検察総長が破壊力抜群の爆弾を炸裂させたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、尹錫悦(ユン・ソンヨル)検察総長の電撃辞任を伝えるとともに、この辞任劇が韓国政界に与える影響について解説しています。

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尹錫悦爆弾

ついに韓国の政界に「尹錫悦爆弾」が爆発した(朝鮮日報のコラムが土台となっている)。

これまでに何度も本メルマガに登場している尹錫悦(ユン・ソンヨル)検察総長。憲法と国民の立場に立ってあくまで悪と戦う戦士である。この尹錫悦検察総長が3月4日に電撃的に辞任した。この突然の辞任は、韓国の政治地図を大きく揺さぶるだろう。本人の口からは一度も政治の「せ」の字も出ていないが、彼が電撃辞任を前にして発言してきた内容は、すべて政治宣言として受け止められている。

要約すると、まず4月のソウル市長選挙にどのような影響を及ぼすのか。第二に、野党の政党構図と政治勢力はどのように再編されるのか。第三に、来年3月に行われる大統領選の競争構図は、どのように揺れ動くのか。

尹錫悦総長が辞任を発表した日の午後、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は尹総長の辞任をすぐに収容し、宙ぶらりんの状態だったシン・ヒョンス民情首席秘書官の辞表も受理した。これらに対して文大統領の公式的な反応はなかった。いつものこと。自分に都合の悪いときは、黙って隠れているのがこの人のクセ。しかし、尹総長の辞任を1時間で受理したことは、文大統領の本音をそのまま表した格好だ。出て行くなら出て行け、俺も自分の道を行く、そういう意味だ。今年1月には、「尹錫悦総長は文政権の検察総長」とまで言っていた文だったが、それぞれの意図とは関係なく、二人は政治的に正反対の立ち位置となった。これが今後、二人の運命をどの方向に導くのか、見守ってゆきたい。もし尹総長が大統領選候補となって、大統領府への入城にまで成功すれば、尹錫悦vs文在寅という二人の関係は、さらに激しく衝突する恐れもある。

民主党の許営(ホ・ヨン)スポークスマンが論評を出した。「改革をすると言っていた尹総長の就任演説は嘘だった」と。一方、野党で保守の「国民の力」の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は、「必要ならば尹総長と力を合わせる」と語った。民主党、国民の力、両者の反応は当然のことながら明らかに正反対だ。

尹総長が退く名分は論理的には、次のようになるだろう。

「これまでわたしは、検察業務を遂行しながら、政治的中立を守ってきた。しかし現政権は、検察の公正な業務遂行そのものを不可能にした。(検察の枠の)外に出て、これらを正そうと考えている」。

続いてこのような感想をもらした。

「検察として、わたしの役割はここまでです」。

検察の首長として、すなわち高級公職者としてやるべきことはここまで、という意味だ。そのため、検察の外に出て正すと述べたわけだ。まもなく本格的な政治を始めるという意味にとれる。

尹総長のコメント中に“憲法精神と法治システムが破壊されている”という部分と、“常識と正義が崩壊している”、という部分があり特に目につくが、これは誰が聞いても明白かつ断固とした「反文在寅宣言」だ。ためにこれから尹総長は自然に、反文在寅陣営を結集する中心の役割を担うことになるだろうと見られている。尹総長が辞任発表の前に、古巣大邱(テグ)高等検察所に赴き、検事らの前で「人事権者の顔色をうかがうな」と言った。つまり大統領であれ誰であれ、検察たるもの、自分を人事してくれたといってもその人の顔色をうかがってはならない、法治精神と憲法に基づいて、悪は悪として断固として裁け、という意味だ。この時から、辞任は秒読みとみられていた。

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