今や飲食店の経営に欠かせない企業の一つとなっているソリューション企業「テンポスバスターズ」。もともと業務用の厨房機器の販売をメインに手がけていた同社が「問題解決企業」として絶大な信頼を得るに至った道程・戦略とは一体どのようなものだったのでしょうか。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者でMBAホルダーの青山烈士さんが詳細に分析しています。
企業文化を中心に据えた戦略
飲食店の経営に欠かせない存在となっている企業を分析します。
● テンポスバスターズ(飲食店総合プロデュース)
モノ売りからの脱却
中小の飲食店経営者の方をターゲットに「飲食店開業および繁盛店になるためのノウハウ」に支えられた「飲食店経営に必要なサービスが充実」等の強みで差別化しています。
飲食店のことなら、どんなことでも相談できることに加え、相談しやすい環境を整えることで、顧客から支持を得ています。
分析のポイント
モノ売りからの脱却
様々な企業が、モノ売りからの脱却を目指して、ソリューション(問題解決)企業に転換しようとしていますが、「テンポスバスターズ」もその一つです。「テンポスバスターズ」は、もともと業務用の厨房機器の販売を主要な事業としていますが、事業拡大を進めて、現在は飲食店に必要な様々なサービスを提供しています。
今回の重要なポイントは、「テンポスバスターズ」の子会社ステーキチェーン店「あさくま」の存在です。「テンポスバスターズ」がもともと持っていた飲食店経営のノウハウと社員のやる気を引き出す人事制度などを導入して「あさくま」の再建に取り組んだとのことですが、何といっても13期連続で赤字だった「あさくま」を黒字再生させた実績は、すごいと思います。
モノ売りからソリューションに転換する際のひとつの壁となるのが実績です。やはり、いくら「問題解決」できますと言っても実績がないと信ぴょう性が低いですからね。ですから、窮地に陥っていた「あさくま」を復活させたという実績は、飲食店の経営者からみれば、喉から手が出るほど欲しいノウハウだと思います。特に中小の飲食店は、大手チェーンなどとの競争にさらされ、立ち行かなくなるケースも多いようですので、「テンポスバスターズ」のような、実績に裏付けられた経営をサポートするサービスを提供する企業は重宝されると思います。
そして、中小の飲食店は、例えば、パン職人や菓子職人といった専門的な能力を持った方が開業することが多いですが、そういった職人の方の中で、事業を経営する能力にも長けている方は少数派だと思います。ですので、自分の得意なこと(パン職人ならパンを作ること)に注力するためにも、得意でない分野を幅広くサポートしてくれる「テンポスバスターズ」の存在価値は非常に高いといえるでしょう。
ちなみに、「テンポスバスターズ」の企業理念のひとつに、
テンポスはフードビジネスプロデューサーとして大手の荒波を受ける中小飲食店のための防波堤となり、共に成長していくことを目指す。
とありますが、まさに理念を実践していますね。
11月1日から持ち株会社体制に移行し、創業者であり、現会長の森下氏が社長に就任します。新たな体制となり、今後、「テンポスバスターズ」が中小の飲食店にとって必要不可欠な存在として、どのように成長していくのか、注目していきたいです。