もう資源は枯渇しない。日本は原油価格の下落でどうなるのか?

 

シェール革命でかわる、アメリカの中東政策

ブッシュ(子)が大統領になった時、「アメリカの石油は、2016年までに枯渇する!」と予測されていました。

フセインが原油の決済通貨をドルからユーロにかえたこともありますが、「石油利権確保」も、不可解な「イラク戦争の理由だったのです。(グリーンスパンが、自著の中で暴露しているように)

しかし、2000年代と2010年代で、まったく違う世界に突入していることを、私たちは知っておく必要があります。

・2000年代=来るべき石油の枯渇におびえる時代
・2010年代=石油もガスもありあまっている時代

このことは、必然的に「世界情勢」に大きな変化を起こすことになりました。

「クレムリン・メソッド」をさらに見てみましょう。

「シェール革命」で、アメリカにとっての「中東の重要度」は下がる

「シェール革命」のインパクトの本質とは何か?

「2000年代と、2010年代では、まったく違う時代、違う世界になっている」ということです。

「なに」が違うのか?

2000年代、世界はまだ、「来るべきエネルギー不足」に恐怖していた。

それで、「資源確保のための革命や戦争」が頻繁に起きていた。

ところが、2010年代に入り、「シェール革命」が起こったことで、人類は、「エネルギーがありあまる時代」に突入したのです。

とすると、いったいどんな変化が起こるのか?

まず、現在「シェール革命」を主導しているアメリカに、シェールガスもシェールオイルも「たっぷりある」ことが重要です。

アメリカはなぜ、これまで「中東」にこだわってきたのか?

そう、「そこに石油、ガスがあるから」でした。

しかし、「自国にありあまるエネルギーがあり、石油もガスも全部自給できるばかりか、輸出もできる」となったらどうでしょうか?

当然、アメリカにとって、中東の重要度が下がることでしょう。

オバマ大統領は二〇一一2011年11月17日、オーストラリア議会で演説しました。

この演説の要点は、ブッシュ政権から引き継いだアフガン、イラク戦争にケリをつけ、戦略の重点を「アジアにシフトする」ということでした。

これはもちろん、ライバル中国が台頭してきたこともあるでしょう。

しかし、「シェール革命」で「中東の重要性が減りつつあること」とも関係しているでしょう。

オバマは2013年8月、シリア軍が反体制派に「化学兵器を使った」ことを理由に、同国を「攻撃する!」と宣言しました。

ところが翌月、戦争を「ドタキャン」し、世界を仰天させます(これについては、後述します)。

そればかりか、オバマ政権は、シリアの背後にいるイランとの和解に動きはじめました。

ブッシュは、原油埋蔵量世界四位、天然ガス埋蔵量世界1位のイランを、常にバッシングし、何度も戦争一歩手前までいった。

ところが、今回アメリカは、本格的に和解に動き出したようです。

これも、シェール革命で、「中東の重要性が減りつつあること」と関係あるのでしょう。

「シェール革命」でアメリカには、石油もガスもたっぷりある。

だから、「中東は重要ではない」。

このことは、今起こっている多くの不可解な出来事の理由を教えてくれます。

なぜ、アメリカは「イスラム国」空爆に熱心ではないのか?

(もちろん、ISがアサドと戦っていることも、その理由ですが)

なぜ、アメリカとサウジアラビアの仲は険悪になっているのか?

なぜ、アメリカとイスラエルの関係が悪化しているのか?

なぜ、アメリカは、イランと和解したのか?

これらすべては、「アメリカ国内に資源がたっぷりあることがわかったこと」が理由です。

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