原油価格下落で苦境に陥る国々
さて、「クレムリン・メソッド」は次に、「シェール革命が世界に与える影響」を解説します。
シェール革命、世界への影響について考えてみましょう。
「エネルギーがありあまるほどあるようになる」、つまり供給量が激増する。
すると、何が起こるか?
常識的に考えると、「エネルギー価格が下がる」ことが予想されます。
「シェール革命」の中心地アメリカでは、すでにガスが欧州の3分の1、日本の五分の一という激安水準になっています。
アメリカは今後、シェールガスをどんどん輸出するでしょうから、ガス価格が世界的に下がっていく可能性が高い。
さらに、ガス価格の下落にひきずられて、原油価格も下がっていくと予想されます。
すると、何が起こるか?
これまで原油輸出で潤(うるお)ってきた「産油国」の経済が厳しくなります。
主なところでいえば、中東諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、イラク、クウェートなど)、ロシア、ベネズエラなど。
ロシアに関しては、すでに「シェール革命」の「悪影響」が出はじめています。
ロシアの天然ガス輸出の約七割は、欧州むけ。
しかし、世界的にガス価格が下がったので、欧州は中東カタールからの輸出を増やしました。
それを盾に、欧州はロシアに、さらなるガス価格の値下げを要求しています。
困ったロシアは、中国をはじめとするアジア諸国への輸出を増やそうとしている。
ここ数年、プーチンが日本との友好を強調しているのは、そんな裏事情もあるのです。
つまり、日本に「ロシア産ガス」をもっと買ってほしい。
ロシア経済は、ますます厳しくなっていく予想です。
「永遠に上がりつづける」と思われていたモスクワの不動産も下がりはじめました。