夫婦同姓違憲訴訟の最高裁判決、新聞各紙はどう伝えたか?

 

このままでは違憲判決が出されるぞ

【毎日】も1面記事の他、2、3面の解説記事を含む4本の記事を用意した。

uttiiの眼

注目すべきは1面記事に付けられた山本将克記者による「解説」。山本氏は司法記者のようだ。見出しは「家族制度 国に議論迫る」。

記者は、今回の判決は、「法律で夫婦別姓を認めることを否定したわけではなく、国会が判断すべきだとして議論を求めている。国会はライフスタイルの多様化を踏まえ、家族制度の抜本見直しに舵を切るべきだ」と大きく踏み込んでいる。ほぼ社説的な位置づけの文章。

さらに強烈なのは、「国会が今回の合憲を『お墨付き』と受け止めるなら、同様の経過を辿りかねない」との指摘。その「同様の経過」とは、婚外子の相続差別規定をめぐって合憲判断を下していた最高裁が18年後に全員一致で違憲に転換したことを指している。つまり、今度の判決は「合憲のお墨付き」でないだけでなく、事実上、国会に対して「選択的夫婦別姓制」の導入に一定のモラトリアムを与えただけのものと受け取っているわけだ。即刻違憲の現状を改めなさいとは言わないが、できるだけ速くやりなさい、サッサとしなさい、という意図を、《毎日》記者は読み取ったようだ。

私はそこまで最高裁を信じる気にはなれない。「一票の格差裁判」あるいは「投票の平等を求める裁判」と同様、最高裁はハッキリしたメッセージを下すべきだし、そうするためには、明瞭な違憲判決を下すことが必要だったのだと思う。モラトリアムを与えている暇はない。今回の判決で、寺田コートはやはり逃げを打ったのだと思う。

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