夫婦同姓違憲訴訟の最高裁判決、新聞各紙はどう伝えたか?

 

別姓どころではない…

【東京】は1面記事に続いて関連記事は6本。社説と解説記事「核心」が含まれている。

見出しを列挙してみる。「夫婦別姓認めぬ規定 合憲」、「女性への負担 司法顧みず」、「夫婦別姓認めず『合憲』」、「法改正の動き 何度も」、「自民など根強い慎重論」、「時代に合わせ柔軟に」、「家族の形 さまざま」、「『私の姓』 思い届かず」「期待の分 失望」。

uttiiの眼

見出しをズラズラっと読んでみれば分かるように、《東京》は現行規定を、「別姓を拒否しているもの」と捉えている。その被害者はこの裁判を提起した原告たちだけではなく、意に反した改姓や事実婚、形式的な離婚を余儀なくされた人たち、さらに、意志を曲げたことを意識することもなくなった大勢の女性たちも含まれるだろう。そして、最大の被害者となるのは、これから結婚を迎える若い人たちだ。

《東京》の記事で目を惹いたのは、社会面に掲載された牛窪恵さんのコメント。牛窪さんはマーケッティングの専門家で、「草食系男子」や「年の差婚」の言葉を広めた人。コメント冒頭には「これから結婚しようという若者、特に女性は、今回の判決に驚いたと思う」と記されている。続けて「個を重視するゆとり教育を受け、消費者として何でも選べる時代。なのに結婚は相変わらず『昭和以前のスタイル以外選べないことに違和感を抱くはずです」

牛窪さんによれば、40代後半のバブル世代が多様化のフロンティアであり、別姓を選びたい人は少なくないという。また、30歳前後の「草食系世代」や20代の「ゆとり世代」は、結婚後の姓が自由に選べるなら互いの姓から一文字ずつ取って合わせようといった感覚で共通しているという。

「結婚にも柔軟さを」と訴える牛窪さん。別姓くらいで吃驚している場合ではないのだ。

image by: Wikimedia Commons

 

uttiiの電子版ウォッチ』2015/12/17号より一部抜粋

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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