業者からの脅しも表面化。「電力自由化」の不都合な真実

 

この裁判のケースでは、老朽化した電気幹線の改修工事が保安上も必要で、一括受電への切り替えと同時に実施するはずの工事が、この1人の人の反対によって実施できなかったこと、さらにこの人が、これまで管理組合が実施した専有部分が関係する改修工事をことごとく拒否してきたこと、総会や説明会にも出席せず、意見を述べることもなく、ただ契約段階で拒否していること、等の事情から、裁判所が、被告が他の住民と協力して住環境の保全と向上を図ることに目を向けない姿勢は顕著で、本工事を実施できないことは、区分所有法第6条の「共同の利益に反する行為」と判断し、第59条競売の適用を認めたというものです(詳細は、判決文や解説をあたってください)。

この判決を、「一括受電の総会決議があったのに、承認の印を押さないと、管理組合が裁判を起こしますよ。あなたが負けますよ」というように、短絡的な話にすり替えたり、もしくは、そう誤解させるような話し方をしているとしたら、それはやめてほしいと思います。

この裁判のケースは、度重なる非協力という特殊な事例で、しかも一括受電に反対したこと=共同の利益に反するとされた訳ではありません。

業者は、仕事にならないとなったら管理組合とさよならですが、管理組合の中の人間はずっと付き合っていかなければなりません。大きな対立という禍根を残してまで、急いでやろうとすることは、どうか避けてほしいと願います。

電力の完全自由化でどんな競争が始まるのか、見極めたいと思います。

image by: Shutterstock.com

 

まんしょんオタクのマンションこぼれ話
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
<<登録はこちら>>

print
いま読まれてます

  • 業者からの脅しも表面化。「電力自由化」の不都合な真実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け