言葉の使い分け3 「収束」と「終息」
「収束」と「終息」。字は違いますが、この2つの言葉の意味の違いを理解できていますか?
「収束」は、収まりがつくこと、収まりをつけること
「終息」は、すっかり終わること
という違いがあります。
例)収束…解散騒動の収束、事態が収束に向かう
終息…エボラ出血熱の終息、インフレが終息する
混乱した状態が落ち着くのが「収束」で、物事が終わるのが「終息」です。
では、「終息」と「終結」の違いは? はっきりと決着がついて終わりになることが「終結」でひとまず終わることが「終息」という違いがあります。
例)内戦の終結、審理を終結する
「終結」の同音異義語に「集結」があります。「集結」は、散らばっていたものが一箇所に集まることですが、「収束」にも、多くの光線が一点に集まるという意味があります。
例)集結…鉄道マニアが集結
収束…収束レンズ
漢字の意味をたどると違いがはっきりします。
言葉の使い分け4 「調整」と「調製」
「調整」と「調製」。字面がよく似たこの2つの言葉の意味の違いを使い分けできていますか?
「調整」は、調子や過不足などを整えること
「調製」は、注文・好みに応じて作ること
という違いがあります。
例)調整…年末調整、スケジュールの調整
調製…薬剤調製、予算の調製
物事がうまくいくように正しく「整える」のが「調整」で注文に合わせて作ることが「調製」。「調製」の製は、「製造」の製と同じですね。
余談ですが、牛乳と豆乳では使う「ちょうせい」の字が違います。牛乳の種類には製造工程で成分を調整していない「成分無調整牛乳」と成分を調整した「成分調整牛乳」があります。
※参考:知っ得! 品質マメ知識 牛乳編(株式会社明治)
一方、豆乳は大豆以外、何も加えていないのが「無調製豆乳」。必要最低限の調味料が加えられているものが「調製豆乳」
※参考:大豆を使った加工食品にはどのようなものがありますか?(農林水産省)
牛乳に使うのが「調整」で、豆乳に使うのが「調製」という違いがあります。
豆乳に関する「豆知識」でした。
言葉の使い分け5 「不幸」と「不孝」
「不幸」と「不孝」。うっかり見誤りやすい2つの言葉の意味の違いを使い分けできていますか?
「不幸」は、幸福でないこと、恵まれていないこと
「不孝」は、親を心配させたり、悲しませたりすること
という違いがあります。
例)不幸…人の不幸につけこむ、不幸中の幸い
不孝…親不孝、不孝者
文字通り、幸せではないことが「不幸」で、孝行していないことが「不孝」です。
不孝の対義語は「孝行」、不幸の対義語は「幸福」。
「不幸」は、身近な人が亡くなることを婉曲に表すときにも使います。
例)身内に不幸がありまして
「不孝」も「親不孝」も親の言うことを聞かず、心配をかけたり悲しませたりするという意味は共通します。
「親不幸」と書くのは誤りなので、注意しましょう。
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『仕事美人のメール作法』
著者/神垣あゆみ
広島を拠点に活動するフリーランスのライター。若手ビジネスマン向けにメールマナーの基本を解説した『メールは1分で返しなさい!』(フォレスト出版)など著作多数。
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