一方、学校は一定の調査を行う権能を持っている。その典型事例が、いじめに関するアンケートである。
ところが、いじめが繰り返し行われることで、被害者やその関係者が深刻な状況となるケースでは、このようなアンケートを自発的かつ積極的に行う学校は皆無と言ってよいくらい、アンケート実施を躊躇う傾向が強い。
物壊しや物汚しの加害者不明の状況において、いじめに関するアンケートは効果的であるが、この効果的方法を打ち出すには前提がある。それが、「いじめの定義」を含めた教育による子どもたちへ共通の認識を示せるようにすることである。
アンケートを取るにしても、いじめへの認識が個々人の考えに任されているのであれば、偏りが出てしまう上、目の前でいじめ状態が起きていても、それをいじめとして認識しないという可能性もある。
後手となるケースでは、アンケート実施において、記名する方式と無記名とする方式、クラスで一斉にアンケートを取る方式や持ち帰って記載する方式など、集め方やアンケートの性質で、効果に違いが生じる。
後手となった学校の対策では、まずアンケートは取らないのだが、稀にアンケートを取っているケースがある。ただ、この場合、クラス内にいわゆるカースト制が出来上がっていて、さらにその上位層のアリバイがない状態であるのに、クラスで一斉に記名の上、アンケートを実施するなど、それでは、貴重な情報提供者が筒抜けになってしまうというような残念な調査をしている。
調査の前提的な考えでは、善良すぎる性善説を取ると、本質が見えなくなってしまうデメリットがある。
全てを疑うわけではないが、事実を得るためには、情報を整理し、整合性を確かめ、事実を見出す必要がある。
それゆえ、アンケートにおいては、情報提供者が守られる必要があり、そのための細心の注意が必要であるのだが、学校現場においては、これは難しいという背景がある。