小池知事の鼻を明かせ。私怨でIOCを動かす森元首相のノミの心臓

 

IOCの理事会、総会で決まったことをひっくり返そうとする小池知事をバッハ会長が快く思うはずがない。だが、大切なことは、小池劇場に引っ張り込まれて政治利用されないことだ。そのためには、なによりバッハ会長自身がテレビの視聴者に好印象を与える必要がある。そして、主導権がIOCにあることをやんわりと日本国民に認識させることが大切だ。

森や武藤らは、18日に来日するバッハ会長と連絡をとり、入念に対策を練ったにちがいない。実際にバッハ会長が来日すると、小池知事、森会長、安倍首相に会ううちに、しだいに全体の空気がバッハのペースにはまっていった。その裏に、森らの仕掛けがあったのではないか。

最初のステップは、小池知事との会談をオープンにするという東京都側の申し入れを気軽に受け入れることだった。小池知事が、テレビ映りを最大限に利用し、相手より自分をよく見せて視聴者の支持を得る術にたけているという特徴をバッハ会長は来日前にしっかり頭に入れていた

その対応策は、小池の雰囲気に同化し、できる限りの友好ムードを醸し出すこと。ただし、ほどよくその場を引き締め、あとの交渉を有利に進める布石を打つことも忘れてはならない。それがバッハ会長の次の発言である。

東京が選ばれたのは、公平な競争をしたからこそだ。競争のルールを変えないことこそ、日本にとっても、東京にとっても、そしてIOCにとっても、利益にかなっていると思う。

四者による作業部会の発足を提案したい。都、組織委員会、日本政府、IOCの四者で作業部会を形成して、一緒にコストに関して数字を見直していこう。

提案した内容を変えないことが原則だが、とにかく、これから四者で話し合っていこう、というわけだ。

これに対し小池知事は「四者協議も、しっかりと国民や都民に見える形でやっていければ良い提案ではないかと思う」と応じた。お得意のオープンな形にこだわった小池が、バッハ・森ラインの考える四者の意図に気づいていたかどうかはわからない。

終始、笑みをたたえる小池知事とバッハ会長のかたわらには、ときおり鋭い眼光を放つコーツ副会長の姿があった。コーツこそは会場選定に決定的な影響力を持つ人物だ。

小池知事との会談の翌日、バッハ会長は森喜朗が待ち受ける組織委員会の事務所にコーツ副会長とともに訪れた。この場での組織委の眼目は、森喜朗会長の存在をいかに大きく見せるかだ。バッハ会長もその意図は心得ていたとみえる。

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