ジョブズも虜に。日本の「禅」が導くシンプルで深い人生の道標

 

禅の庭

禅の庭には余計なものがありません。石組、水、草、木、それらが整然と配置されているだけです。これは自然そのものです。季節の移り変わりと共に自然は変化していきます。しかし、その変化は絶えず同じことを繰り返しているのです。そのことは1,000年前も今も1,000年後も変わらない自然の摂理なのです。ずっと変わらない不変の自然の摂理に対して常に変わり続ける無常の我々は調和しながら生きているのを感じます。禅の庭からはそのような物事の道理を学ぶことが出来るのです。そうしていくうちに、今まで自分の身の回りにあったものが本当に大切かどうかなど価値観を棚卸するきっかけになるのです。

20世紀という時代は、大量生産・大量消費の時代でした。日本も1960年第以降は高度経済成長時代を経て先進国の仲間入りを果たしました。物質的な幸福は精神的な幸福であり、おカネで幸せが買えるかのような物欲主義的な時代を経験しました。

しかし、モノは豊かになったけれど、果たしてそれが幸福につながっているのでしょうか? 我々はものだけではなく心が満たされないと幸福にはなれないと気づき始めているのです。日本に限らず海外の国々でも同じように感じていることでしょう。

物質的な豊かさを追い求めるのは、執着の世界です。禅とは真逆の精神性と言えるでしょう。しかし、禅寺の庭を眺めていると自らも自然の一部であることに気づきます。自然は朝と夕方でも違う表情を見せます。季節が変わればもちろん木の葉の有るなしや色彩が違います。常に変化しながらも同じことを無数に繰り返しているのです。無常と不変の自然の中に執着を忘れた自分を発見するきっかけがあるのです。

今まで身についてしまった沢山の重りが取り除かれたときに心に大きな余裕が生まれます。本当の豊かさに満たされた自分に気がつくのはまさにその瞬間なのだと思います。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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