【書評】学校は国の「洗脳」出先機関? 過激なホリエモン的教育論

 

さっそく、ポイントをチェックしてみます。

普通に暮らしている限り、「常識」という教義の危険性に気づく機会は少ない。それは「常識」の洗脳が、国家ぐるみで行われているからだ。国家は、全国に4万6,000箇所もの“出先機関”を設け、この国で暮らす人たちすべてをその魔の手にかけている。その出先機関とは、「学校」だ

そもそも学校は、工場の誕生と連動して作り出された機関

もし仮に、一つのフィクションを共有できる人間のことを「仲間」と呼ぶのであれば、国家というフィクションは百害あって一利なしだ。なぜなら、このフィクションこそが数多の激しい戦争の要因であり、差別の温床だからである

僕たちの周りにはびこっているフィクションは、とうに古び始めている。そろそろ、新しい時代のための、新しいフィクションが必要だろう

N幻想がなくなり、誰もが共有する「幸せの正解」がなくなった現在、人は国民ではない「民」の一人として、自分だけの幸せを探し、生き方を探し、働き方を探さなければならない。それは、画一的な「学校」で教えられるものではないというのが僕の意見だ
※N:国民国家の略

G人材の最大の特徴とは何か。それは実は、「所有からの解放」にある。彼らは、「所有」に価値を置かずに生きることができるのだ
※G:グローバルの略

人々は、「所有」よりも「アクセス」を、そしてその「アクセス」から得られる「楽しさ」を求めて生きるようになるはずだ

「所有」のために「やりたくないこと」に従事する時代は終わった

あらゆるイノベーションを生み出すのは、「お勉強」ではなく「学び」だ。夢中になっているからこそ、人は一日中それについて思考を巡らし、新機軸を思いつくことができる

野球に没頭すれば「野球バカ」と言われ、化学に没頭すれば「化学バカ」と呼ばれる。没頭している何かについての価値判断より、できていない部分の量によって「バカ度」を測られるのが学校という場なのである

貯金は「無駄」。それが僕の、昔から変わらない考え方である。なぜか? 「貯金」は、ただの現状維持に過ぎないから。1万円を使わないことで、「1万円のまま」残す。そこには何の成長も、喜びもない。もし、あなたが自分自身の価値をもっと高めたいと思っているのであれば、するべきことははっきりしている。「投資」だ

過去を再利用しない

あらかじめ申し上げておくと、土井は著者の主張には完全に賛成するわけではありませんし、著者がこうして立派に伝わる文章を書けていること自体、日本の教育の成果だと思っています。ただ、「公教育私教育」というのは本来違うものなのに対して、この国の教育論はこれをごちゃまぜにして論じている点がこれまでも気に入りませんでしたし、次の時代を見据えた教育については、国民全員で議論すべきものと思います。

現在の日本の教育では、哲学やお金を教えませんし、宗教も教えません。これでは、グローバル化の時代に、他国のエリート層とわかり合うのは難しいでしょう。そういう意味で本書は、日本の義務教育について議論する、とても良いきっかけとなる本だと思います。ぜひチェックしてみてください。

image by: Shutterstock.com

 

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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