不要なモノはない~世界で活躍する日本の中古品
タイの首都、バンコク郊外の貧しい地域にある小学校。そこにエコリングのトラックがやってきた。
箱の中身は日本からの中古品。子どもたちが行列して待っていた。古着が配られると、子供たちがつぎつぎと手を伸ばしていく。エコリングタイの支社長、伏見太一は「寄付です、全部。無料で差し上げて。子どもたちに使ってもらうという形で協力させて頂いてます」と言う。
野球のグローブにサッカーボール、様々な文房具……。教室では鉛筆が1本ずつ配られた。文房具さえ満足に買えない子も多いのだという。日本では不要となったモノでも、ここでは、まだまだ役に立つ。
桑田はこの寄付活動を、4年前から続けてきた。
「向こうに持って行って、子供たちが喜んでいる。それだけで十分じゃないですか。世の中、ムダなものはないと思います」(桑田)
ムダなものはない。このことについてスタジオで桑田は次のように述べている。
「ずっと給料が上がっていく、だから消費していくという世の中から、ひとつひとつのものを大切にしていこう、再販したらちょっとでもお金になるようにしていこうという側面を担っていくビジネスだと思っています」
~村上龍の編集後記~
桑田さんは、不思議な人だった。とらえどころがない。
農獣医学部出身、PCが普及するはるか前に、プログラミングを習得、元郵政省公務員、そして、身の回りのものを、はじまったばかりのネットオークションで売って生活。
「節約とか、そんな生き方をするんだったら死んだほうがまし」と宣言して・・・
やがてエコリングを立ち上げ、創業15年で、年商100億円の会社に成長させた。一見、脈絡がないが、不自然ではない。
人生に無駄な時間はなく、世の中には、不必要な資源はないことを、身をもって、しかも軽やかに示している。
<出演者略歴>
桑田一成(くわた・いっせい)1968年、兵庫県生まれ。日本大学農獣医学部卒業後、1993年、郵政省(当時)入省。2000年に退省し、ITベンチャーを起業するも失敗。2001年、エコリング創業。
source:テレビ東京「カンブリア宮殿」