日本が核武装すれば???
次に
2. 日本は、核武装する
について、ナヴァロさんは、どう考えているのでしょうか? ナヴァロさんは、「唯一の被ばく国として、日本は核兵器の保有には強い拒否感を持っている」としながらも、「ほとんど一夜のうちに」核兵器を製造できるとしています。
しかし、ナヴァロさんによると、日本が核保有することで、アジアで核戦争が起こる可能性は大きくなるそうです。この点に関しては、ナヴァロさんに反対の人もいるでしょう。ここからは私自身の考えです。
中国の対日戦略は、「反日統一共同戦線構築」でした。そう、中国、アメリカ、ロシア、韓国で「反日統一共同戦線」をつくり、日本を破滅に追い込むのです。もし日本が核武装を宣言すれば、それを最も喜ぶのは中国でしょう。
中ロは、当然日本核武装に反対。そして、中ロは、アメリカ、欧州を巻き込み、日本に過酷な経済制裁を課すに違いありません。アメリカと中国が一体化すれば、日本は、またもや石油を買えなくなります。
「核があればすべて解決」というのは、「生命線である満州を守ればすべてOK」というのと同じぐらい短絡的で危険なことです。歴史的事実として、「核拡散防止条約」は、「日本(とドイツ)に核をもたせないため」につくられた。
「アメリカは、日本に核をもたせない!」という決意、バイデン前副大統領も公言しています。2016年8月16日時事。
【ワシントン時事】バイデン米副大統領は15日、ペンシルベニア州スクラントンで米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官(68)の応援演説を行い、「私たちが(日本が)核保有国になり得ないとうたった日本の憲法を書いた」と発言した。
というわけで、私が短絡的な「核武装論」に反対なのは、はっきりとアメリカ、中国を敵にまわしてしまうからです。もちろん、欧州、ロシアも日本の核武装に反対。日本は、欧米、中ロを敵にまわし、世界で完全に孤立します。そして、また敗戦。
繰り返しますが、これは私の意見で、ナヴァロさんが書いていることではありません。
日本が「ぶれない同盟国」であれば?
では、最後
3. ぶれない同盟国であり続ける
はどうなのでしょう? ナヴァロさんは、「ぶれない同盟国」シナリオは、「平和に貢献する」としています。なぜ?
ペンタゴンの元アナリスト、マイケル・ピルズベリーは、この「力による平和」主義についてこう説明する。中国は探りを入れ、弱点を見つければ前進してくる。だが、進んでみて相手が強いと分かれば、撤退するだろう、と。
(同上)
中国の「弱者は遠慮なくいじめるが、強い者には手を出さない」という傾向については、戦略家ルトワックさんも指摘しています。
というわけで、安倍総理の対米外交は、今の状況下では「正解」なのです(あくまで「現状正解」ということで、「永遠に正解」という意味ではありません)。
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