ドン底を味わったマクドナルドが、したたかに進めている「脱却」

 

マクドナルドはどんな手を打っているのか?

気になりつつ、先週のランチタイムにオフィス近くのマクドナルドに行ってみたところ、大き目の店内は、満席。レジにも、10人以上が並んでいた。

大半の人たちは、新しく発売された「グランシリーズ」を買っている。コンセプトは、本格肉厚バーガー。クラブハウス、ベーコンチーズ、テリヤキの3種類が用意されていて、それぞれ、490円、390円、390円。ポテト&ドリンクセットにすると790円、690円、690円と、単体、セットいずれも、ビッグマックよりやや高めの設定になる。

ほんの数年前までは、100円マックを筆頭に、「安いハンバーガーというイメージだったが、ここ数年でイメージはかなり変わったと言える。もちろん同時に、レギュラーメニューは存在する。

今回、久しぶりに店頭に行き食べてみて感じたのが、各メニューに関する「コピー」と「ネーミング」だった。

まず、このグランシリーズは、「おいしい、楽しい、ハンバーガーがある毎日」というスローガンを掲げている。

「100円で安い」などという価格訴求ではなく、書かれてはいるものの、素材を全面に押し出しているわけでもない。いわゆる機能的な価値よりも、感情に訴える価値を全面に出している。これにより、「グランシリーズ」を食べたら自分がどういう気持ちになるのか? ということを想像できるのだ。

また、しょうが焼きバーガーなど、1個200円のバーガーに関しても、「安い!」という直接的な表現ではなく、「おてごろマック」というネーミングを使い、「質の割には、価格を抑えていますよ」という表現になっている。

表現ひとつで、大きく違う。これは、明らかに価格訴求からの脱却を狙った戦略と言えそうだ。

こういったコピーやネーミングは、一朝一夕に開発されるものではない。マクドナルドのケースでいえば、2017年の事業コンセプトを、「マクドナルドのおいしさ向上宣言』」とした点から端を発している。

第1弾、「マック史上最高リッチな味と香り」を実現したプレミアムローストコーヒー、第2弾、前述の「お手頃バーガー」、そして第3弾が「グラン」なのだ。

このコンセプトに基づいての価格設定を含む製品開発になっている。

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