蜜月だったのに。なぜ中国とロシアの足並みが急に乱れ始めたのか?

 

国連安保理で、崩れた中ロの「共同歩調」

中国とロシア、「協力の場国連安保理です。国連安保理には、拒否権をもつ常任理事国が5か国ある。つまり、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア。そして、大抵の場合、アメリカ、イギリス、フランスは一体化して動き、中国とロシアは、一緒に動きます。中ロの場合は、むしろ「ロシアが主導し、中国が追随する関係」です。ところが、2017年4月、中ロは二つの重要問題で別々の行動をしました。

一つは、「シリア問題」です。BBCニュース4月13日から。

シリアが反政府勢力地区で化学攻撃を実施したとされる問題について、国連安保理で12日、非難決議案の採決があったが、ロシアが拒否権を行使して成立しなかった。ロシアがシリア非難をめぐり安保理で拒否権を行使するのは、これで8回目。

ロシアはシリア非難決議案に拒否権を行使した。ロシアは、「アサドが化学兵器を使ったかどうかは、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査結果を待つべきだ!」と主張しているからです(現時点で、OPCWは、「化学兵器が使われたことは疑いない」としながらも、「誰が使ったか」までは特定していない)。

さて、「いつもロシアと一緒」の中国は、どう投票したのでしょうか?

ロシアと同様に常任理事国として拒否権をもつ中国は、投票で棄権。非常任理事国のエチオピアとカザフスタンも棄権した。10カ国は賛成し、ボリビアは反対に回った。
(同上)

中国はなんと棄権」。この時の勢力図を見ると、シリア非難決議案に

  • 賛成 10か国
  • 棄権 3か国(中国、エチオピア、カザフスタン)
  • 反対 2か国 (ロシア、ボリビア)

となります。

4月19日、国連安保理は、「北朝鮮非難声明」を出そうとしました。しかし、ロシアが拒否権を行使しこれを阻止します。

ロシア、安保理の対北朝鮮非難声明を阻止 拒否権発動により

CNN.co.jp 4/20(木)12:27配信

 

ニューヨーク(CNN) 国連安全保障理事会は19日、北朝鮮のミサイル発射実験を非難する声明発表に向け理事国の同意を求めたが、ロシアが拒否権の行使によりこれを阻止した。

中国は、どう動いたのでしょうか?

声明案は米国主導で取りまとめられ、北朝鮮に対してこれ以上の核実験を実施しないよう要求する内容も盛り込まれた。国連外交関係者によると、声明案には常任理事国の中国も含め、ロシアを除く14理事国すべてが同意していた。
(同上)

う~む。この時の勢力図を見ると、北朝鮮非難声明に

  • 賛成 14か国 (もちろん中国も含む)
  • 反対 1国 ロシア

完全にロシアが孤立する形になりました。ところで、なぜロシアは、北朝鮮非難声明に反対したのでしょうか? 「声明に、『対話を通じた解決』という文を入れろ!」と主張したのです。しかし、翌日ロシアもさすがにヤバい!」と思ったのでしょう。一転、合意します。

安保理、北朝鮮を非難=米ロ一転合意、追加制裁警告

時事通信 4/21(金)5:08配信

 

【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は20日、北朝鮮による16日の弾道ミサイル発射を強く非難する報道機関向け声明を発表した。声明は核実験を実施しないよう求め、状況を注視しつつ、「制裁を含むさらなる重大措置」を取ることを警告した。米ロの対立で声明発表はいったん見送られたが、修正案で合意に至った。

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