ロシア経済はボロボロなのに、なぜプーチンは「神」扱いされるのか?

 

なぜ、プーチンは支持される?

なぜ経済がボロボロでもプーチンは支持されるのでしょうか? 小田さんは、理由を挙げます。

その理由について様々な議論が可能だろうが、ここではまず、ロシアが「外敵」にさらされ、「強い指導者」であるプーチン大統領の下に結束して対処しなければならないとの意識が強いことを指摘したい。
(同上)

外敵??????? 誰のことでしょうか?

「レバダ」によると、プーチン支持率は2014年春のクリミア併合などウクライナ危機が起きる前、例えば2013年11月には61%だった。それでも十分高いのだが、ウクライナ危機、その後の米欧による対ロ経済制裁の実施をきっかけに一気に80%台に跳ね上がった。この出来事がロシアのナショナリズムを一段と強めたことが考えられる。
(同上)

そうなんです。プーチンの支持率は、「クリミア併合」で一気に上がった。これ、日本人にはなかなか理解できないですね。しかし、ロシア人は、「クリミアは歴史的にロシア領プーチンはそれを無血で取り返した!」と大絶賛しました。プーチンは「クリミア併合」でロシアの「歴史的英雄」になったのです。

その後、アメリカは、日本と欧州を巻き込んで、「ロシア制裁」を課しました。この件について、ロシア人は、「何も悪くないのに制裁された。欧米(と日本)は、敵対的だ!」と考えている。

そう、日本や欧米とは、論理が「正反対」になっている。「どっちが正しい」という話はしません。ただ、「ロシア人が考えていること」を正確に把握しておくことは大事です。

加えて、そもそもロシア国民には歴史的にロシアは大国であるとの意識が強いとの要因もあろう。大国ロシアの象徴がプーチン大統領であり、彼はころころ変わる政治指導者の1人ではないと受け止められている。つまり、ロシアのナショナリズム、あるいは大国意識のバネが働いているとみる。
(同上)

日本の象徴は、天皇陛下。ロシアの象徴は皇帝プーチン。象徴がころころ変わったらいけないと。KGBのエージェントが、「ロシアの象徴」になったのだから、すごいことです。

2000年、RPEには、「プーチン神への道」シリーズというのがありました。彼が「絶対権力者になるまでの過程」を書いていたのですが。いまではすっかり」になりました。

次にプーチン大統領は日々の経済政策を司る政府とは別の存在だとみる人たちが多いことも指摘したい。大統領はすべての政策を統括するのだが、経済政策の直接の担当はドミトリー・メドベージェフ首相。経済政策でヘマがあってもそれは大統領のせいではないということになる。
(同上)

面白いですね~。ロシアでは、景気が悪くてもプーチンのせいにならないのです。では、誰のせい? 首相メドベージェフのせい。そのメドベージェフは、「原油価格が半分になった」「制裁のせいで」などと言って逃げます。しかし、原油価格が上がって景気が上向き出すと、「景気対策の効果があらわれはじめた」などといって自画自賛します。

米欧、そして日本のメディアの中には、ロシアではクレムリンが主要報道機関を統制、親プーチン記事を垂れ流しており、それが彼の支持率を高める効果を与えているとの見方がある。確かに三大テレビ・ネットワークは政府の強い影響下にあり、国民が「洗脳」されてしまうのかもしれない。だがその一方で、ロシアの報道機関が全て国の統制下にあるわけではないし、CNNやBBCなど米欧のテレビ放送も視聴できる。中国のようにインターネットも特に強く規制されているわけではない。政府による報道統制だけでプーチン支持率の高さを説明するには無理がある。
(同上)

この件。ロシアの3大テレビ局、1カナル、RTR、NTVは、クレムリンが支配しています。それで、テレビが主な情報源である年配の人たちは、「プーチン絶対支持者が多い。一方、ネットが主な情報源である若者のプーチン愛はそれほどでもない

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