【書評】都立高や養護学校で「仰げば尊し」が歌われない理由

 

次々と情けない日本人の言動を嘆く牧子さん。あとがきにある、京大チームの興味深い実験結果の話がよかった。生後6か月の乳児が正義を好意的に受け止めているのだ。Aバージョンの映像は、強者キャラが弱者キャラを攻撃している。赤い人形がそれを見ているが、助けに行かない。見ているだけだ。

Bバージョンの映像は、強者が弱者を攻撃するのは同じだが、青い人形が見ていて、弱者を助けに入る。この二種類の映像を乳児たちに見せた後で、弱者を助けなかった赤い人形と、助けた青い人形を同時に差し出した。すると、母親らに抱っこされた乳児たちは、赤と青の人形を交互に見て、青い人形に手を伸ばす。

じつに20人中17人が青い人形にタッチした。京大チームは「弱者に対する攻撃を止める行動」に、乳児が共感を覚えた可能性があると、海外の科学誌電子版に発表した。京大チームは「正義への憧れは生まれつき備わった性質なのではないか。いじめの理解や解決につながるかもしれない」としている。内舘牧子はこの説を信じる。わたしも信じたい。どこを読んでも、堂々「寄り切り」の牧子さんである。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

日刊デジタルクリエイターズこの著者の記事一覧

デジタルメディアで活躍する現役クリエイターたちのコラムで構成されている本格派。総発行部数約16000! 真のクリエイターを目指している方からデジタルに関わる方まで、すべてに向けて発行中!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】 』

【著者】 日刊デジタルクリエイターズ 【発行周期】 ほぼ日刊

print
いま読まれてます

  • 【書評】都立高や養護学校で「仰げば尊し」が歌われない理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け