主人公はお客様。今すぐ、その接客マニュアルとやらを捨てよ

 

あるべき状態」を作る目的は2つ。

一つは、「あるべき状態」をお客様に感じて欲しい状態として表現することで、常に自分たち都合の接客ではなく、「お客様視点目線の接客」ができるようにすることです。店で仕事をしていると、ついつい「自分たち都合」になることが多くなるものです。

しかし、店の営業で最も大切なのは、「お客様にどう感じてもらうか」ということ。これが最も大切なことで、そのために「クレド」があるわけで、その実現をはかるためにも各接点の「あるべき姿」を設定することがとても重要となるのです。

そして、この「あるべき姿」の表現は、例えば、「感じがいいなあ」「長くこの店で楽しみたいなあ」というようにお客様の気持ちをそのまま口語表現」すると、より分かりやすいでしょう。

二つ目は、店長やスタッフ自身が「考えて接客をできるようにする」ためです。マニュアルに事細かく記載事項があると、それを「こなす」傾向が強くなりますし、また、教える人もそれを「やらせよう」とさせてしまいます。これだと、「今の」お客様を喜ばせることはなかなか難しいですし、スタッフも「やらされ感」が強くなります。

そこで、「考える」を強制するために、あるべき状態や目的などだけは、予めお店側が設定し、あとはどうおもてなしすればよいかを最初から(つまり、新人の時から)考えさせるようにすることが、このマニュアルの目的であり、「あるべき状態」をつくる目的なのです。

ですから、この「あるべき状態」から各スタッフが自ら考えられるよう、「あるべき姿を皆がイメージできる表現にすることも大切なことです(ですから、口語表現にすると皆がイメージしやすくなります)。

ちなみに、このマニュアルは、店のスタッフに作ってもらうようにしています。自分たちのお店のマニュアルを自分たちで作ったほうが、マニュアルは活用されますからね。

マニュアルを作ることで、理念やクレドを浸透させようとしているのですが、特に各接点の「あるべき状態」を時間を掛けて話し合いながら作っています。各接点の「あるべき状態」は、お店の理念やクレドを実現するものでなければなりません。

この「あるべき状態」、つまり、各接点でどのようにお客様に感じて欲しいかを店長やスタッフと議論することで、理念やクレドの浸透を図るようにしているのです。

このようにして出来上がったマニュアルは、普段のミーティングでも活用できます。例えば、「『お出迎え』は今我々が定めた『あるべき状態』になっているか?」と自分たちで自分たち自身の接客を振り返ることもできます

特に、ロープレを行う時に、ただ皆で個人的な意見を言い合うのではなく、「あるべき状態に対して、今の接客はどうか?」を話し合うことができ、より効果的なロープレ、ミーティングにもなるでしょう。

このような話し合いが定期的にできれば、理念やクレドに触れる機会が増え、自然と理念やクレドが浸透するようになります。

image by: Shutterstock.com

中西敏弘この著者の記事一覧

若手飲食店コンサルタントとして、人気急上昇中の飲食店経営コンサルタント、中西敏弘が「売れる」飲食店作りの秘訣を論理的に、そして分かりやすく解説します。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 飲食店経営塾 』

【著者】 中西敏弘 【発行周期】 毎週2回

print
いま読まれてます

  • 主人公はお客様。今すぐ、その接客マニュアルとやらを捨てよ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け