タイムカードの不正打刻で懲戒解雇。会社を訴えたら勝てるのか?

 

では、このような不正打刻が行われた場合、会社は懲戒処分を行うことができるのでしょうか。それについて裁判があります。ある製造業の会社で出勤していない社員のタイムカードに打刻をしたとして、その打刻した社員と打刻してもらった社員が懲戒解雇になりました。その処分に納得がいかないとしてその社員たちが裁判をおこしたのです。ではその結果はどうなったか?

会社が勝ちました。その懲戒解雇は「有効」とされたのです。「不正をしたのだからそんなの当り前では」と考える人も多いかも知れませんがそこで注意が必要です。

実は、同じような「タイムカードへの不正打刻」でも会社が負けている裁判も結構あるからです(中には会社が1,300万円も支払いをしている例もあります)。

では、その違いは何か? ポイントは2点あります。まず1点目が「悪意を持って不正打刻をしているか」です。打刻した退勤の時間が遅ければその分、残業代も多くなります。それを意図して打刻しているのであれば、残業代を不正受給」していることになります。また、出勤していないにも関わらず出勤しているように打刻すれば、給与を不正受給」していることになります。これらは「(不正受給をしようと)悪意を持って」打刻しているため、当然ながら「懲戒事由」になりえます(解雇まで認められるかはその頻度や期間にもよりますが)。

ただ、逆にこれらの意図が無い場合は認められない可能性もあります。実際にある裁判でも「不正打刻の事実はあったものの、まとめて勤怠記録を出したため過去の分の記憶があいまいで虚偽の記録を出してしまった」という例では解雇は無効とされています。また、ある病院で行われた不正打刻についても、その社員が若く社会人経験があまりなかったため「会社にもある程度の寛容さが期待される」として、懲戒解雇は無効とされました。

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