【書評】なぜ福沢諭吉は中韓両国と交友を絶ちたいと考えたのか

 

次に福澤は、「なぜ、中国・韓国は文明化できないのか?」を解説します。要するに、中韓は、「古い慣習にとらわれているから」文明化できないと。

二国の人々にも文明の事物について見聞(「聞見」)していないはずはないが、耳に聞き目でみるだけでその心を働かすことはない。百千年以前の旧ふるい習慣(「古風旧慣」)への未練(「恋々の情」)をどうしても捨てることができず…

そして福澤は、中韓が「独立を維持できないだろう」と予言します。

私(「我輩」)からこの二国をみれば、現在の文明が東洋に向かう(「文明東漸」の)時代潮流(「風潮」)にあって、その独立を維持することなど到底できないというべきである。

実際、韓国は日本に併合され、中国は列強の分割統治状態になりました。次に福澤は、中韓を容赦なく非難します。曰く

支那、朝鮮の政府は古くからの専制政治をつづけ法律を重んじることはない。

支那、朝鮮の士人が旧習に深く惑わされ(「惑溺深くして」)科学的思考ができない。

支那人が卑屈で恥知らずな人間であることを西洋人が知れば、日本人が正義を重んじ、強きをくじき弱きを助ける義侠心をもった存在であることにも思いが及ばないであろう。

それで、福沢は、西洋諸国が「日本と中韓は同じと思われることをおそれます。そして…。

悪友と親しい者はともに悪友とみなされてしまうのは致し方ない。私は少なくともその心中においてはアジア東方の悪友とは交友を絶ちたいと考えている。

悪友(中韓)とつるんでいると、日本も「悪い国」と思われる。だから、「悪友中韓とは交友を絶ちたい」と。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」からは想像できない言葉です。しかし、日本はその後、福沢諭吉の言葉とは真逆で、中韓と深く深く関わるようになっていきます。1910年に韓国を併合した。その後、満州国問題で中国と揉め、1937年から日中戦争がはじまった。中国は、アメリカ、イギリス、ソ連から支援を受けていた。それで、結局米英との戦争に発展し、日本は敗戦にむかいます

ちなみに渡辺先生は、今と、福澤諭吉が「脱亜論を書いたころの状況は似ていると考えておられます。

明治維新150年。その間、日本は大きな変貌を遂げたが、日本を取り巻く東アジアの国際情勢は、当時の状況と驚くほど重なって見える。120年前、福澤諭吉によって唱えられた「脱亜論」。その中で「悪友」と記された中国、朝鮮と現在の日本の関係も、まさにそうである。本書は、緊迫を増す東アジア情勢の下で、日本の進むべき道を、明治維新の歴史に学ぶ。明治のリアリスト福澤諭吉が、現代に蘇ったらいったい何と言うのだろうか?
(『決定版・脱亜論』アマゾン解説文より)

似ているのはわかりましたが、ではどうすればいいのでしょうか? 渡辺先生の考えを知りたい方は、こちらをご一読ください。

決定版・脱亜論 今こそ明治維新のリアリズムに学べ

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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