2億投入で始まったSNSによる「いじめ相談」、効果はあるのか?

 

長野県では試験的に、昨年9月に2週間、LINEでの相談を受けつけました。10人の相談体制で、県内の約12万人の中学生・高校生を対象としました。なんと1,579件のアクセスがあり、547件の相談に対応しました。前年度1年間の子供たちからの電話相談は259件でしたので、たった2週間で1年間の2倍以上の相談に対処したことになります。

相談の内訳は、「交友関係・性格の悩み」119件、「恋愛」83件、「学業・進学」48件、「いじめ」については45件、「不登校」は3件の相談があり、数人からは「自殺したいなどの相談もあったと報道されています。電話相談と比べて、恋愛学業の悩みなど相談内容が多様化しており、身近な相談ツールとして認識されたのでは、との推測もされています。この結果をふまえ、長野県では、さらに検証するために、今年の入学シーズン、最大で60日程度相談窓口を開設して、本格的な導入に向けて検証を深めたいとしています。

滋賀県大津市では、昨年11月から、1人の相談員が対応する体制で、試験運用を始めました。市内中学生の3割にあたる3中学校の約2,500人を対象に、LINEでいじめの相談を受け付けました。12月22日までの約2か月間に68人が登録し、13人から23件の相談があり、いじめの相談は6件でした。前述した長野県の相談件数にくらべて、少なく見えますが、長野県は高校生も含んでいるのに、大津市では中学生のみを対象にした違いが出ていると言えます。中学生のスマホの普及率51.7%を勘案するとほぼ同程度になります。大津市は、今年1月からは、市内の全中学校18校の9062人に対象を広げるとしています。

さらに、大阪府も今年1月8日から2月2日までの期間限定で、試行実施すると報道されています。府立高校10校の1・2年生を対象に、LINEを活用した教育相談を、週2回行います。名古屋市教育委員会も、LINEなどを使い子供たちからいじめ相談を受け付ける事業を、来年度にも始める方針を示しています。

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