中国急成長の裏で「9重苦」に押しつぶされる中国農民の現状

 

私はいつも、中国の農民は「九重苦」を抱えていると言っています。それは、

  1. 大量の役人を養わなければいけない
  2. 教育を受けるのが難しい
  3. 移動や移住が難しい
  4. 社会保障がない
  5. 観念(思想知識)の遅れ
  6. 物的資源も人的資源も乏しい
  7. 意思表示が難しい
  8. 農業から異業種への企業創設も他企業への転職も難しい。貯金が出来ない
  9. いつも陵辱されている

の9つです。

習近平体制は、現在、権力強化の昂進中ですが、社会主義のイデオロギーは消失しつつあるのではないでしょうか。私は、今の習近平がやっていることは、漢の時代に王莽が目指した理想的儒教の千年王国の樹立に似ているように思えます。

全権掌握の面から見れば、民国初期の袁世凱の帝政への回帰にも似ています。しかし、これら二つの例はいずれも失敗に終わっています。失敗の原因は、理想と現実の乖離による時代錯誤にあります。特に、毛沢東主義への回帰は、世界の潮流からかなりかけ離れています。

今の中国は、表面的には軍事も経済もかなり好調に見せていますが、経済力の後退は隠しきれるものではありません。中国の対外債務の金額については、様々な憶測がなされていますが、33兆米ドル(約3,700兆円)という数字が有力ではないかと思います。これからの中国を見るうえにおいて、私の考えを以下に述べましょう。

  1. 90年末の高度経済成長の延長線上から、これからの中国を読むのはタブーです。
  2. 習近平は、トウ小平以来の「改革開放」のルールを変えようとしていますが、その背後には江沢民や胡錦濤とは違う事情があります。経済が後退している今、政治力で経済後退を乗り切ろうとしているのではないでしょうか。
  3. 経済力があるから軍事力を支えられるわけであり、経済後退の今、ますます強気に出ているのは劣等感と危機感の裏返しではないでしょうか。
  4. 中国人は、個人よりも一家一族の「天下国家」を優先する民族だと知っておくべきです。
  5. 2000年以降、中国に魅力的なソフトパワーはありません。金と力だけで人の心と魂を買ってきました。中国をそんな国にしてしまった習近平に対しての崇拝はありません。いくら習近平の思想を党の要項や憲法に組み入れても、それは張り子の虎に他ならないし、それこそが今後の中国の行方を左右していくものではないでしょうか。

image by: 苦い銭 - Home | Facebook

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年2月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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