【書評】古市憲寿が描く不穏な未来予想図。2040年のヤバい日本

 

移民相当職に日本の貧困層が従事し、時給150円でもハッピーサプリのおかげで幸せになれた。日本の人口は1億人を割った。かつて発表された「日本の将来推計人口」を超えるスピードで人口は減った。政府の少子化対策の失敗と、経済成長国で職を得るため、日本を脱出する人々の増加によるものだ。

奇跡的に平和憲法は維持されたまま、安全保障はグローバル警備会社に依存している。自衛隊の存在感は薄くなったが、給与保証と複数の資格が取得できるため、若者達の人気の職業になっている。東京と福岡が「中心都市」として持ちこたえている。交付税を打ち切られ疲弊した地方は、コンパクトシティという中規模都市を形成している。過疎地域や限界集落はどんどん消滅していった。

東京の繁華街は活気に溢れている。ほとんどが老人だが。単身高齢者が増えた。今後の彼らの介護をどうするかは解決策が出ていない。老人たちの生態は、平成生まれで初の東京都知事になった朝井リョウの小説『何者(老人編)』に詳しく書かれている。救急車や消防車は有料化、ゴミが散乱する街が増えた。

といった、あまり好ましくない未来を予測したSFまがいである。データにもとづく大胆な未来予測、といったものではない。思いつきの未来だ。日本ではあらゆる社会問題の解決が先送りされている。その結果、こうなるかもというエンタメ。本気で書いているなら、ズレているのは君だ。面白いけど。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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