あの日銀ですら危機感を抱く、アベノミクス「統計偽装」の大暴走

arata20190207
 

連日大々的に報道されている、厚労省による調査統計不正問題。“偽装”が明るみに出るやすぐにキーマンと目される同省官僚を更迭した政権サイドですが、これを「森友疑惑時と同様の対応」と批判するのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で、こうした安倍官邸流の対応を見逃すべきではないとした上で、政権が官僚たちに「忖度」を強いるに至った過程を丁寧に追っています。

安倍政権はどのようにして毎勤統計の変更に関与したのか

安倍政権は「改革」の名の下に、どんな禁じ手も厭わない。それでも、まさか基幹統計にまで触手を伸ばすとは、誰も想像できなかっただろう。

毎月勤労統計調査の不正はあくまで厚労省の責任であって安倍官邸には関わりがない。そう固く信じている人も多いに違いない。確かに、厚労省はタチが悪い。年金を無駄遣いした「グリーンピア」や「消えた年金」など数々の問題を起こしたほか、職員の不祥事も絶えない役所である。

だから、2004年から東京都内500人以上の事業所の全数調査を抽出で済ましていたというルール違反についても、驚くにはあたらない。調査人員や予算が減らされていった事情はあろうが、厚労省のかかえる体質や組織の問題が大きい

だが、首相夫妻のからむ森友疑惑を財務省だけの問題にすり替え佐川元理財局長を生贄として差し出した安倍官邸流の対応が、今回の“統計偽装”でも早々と表面化している点を見逃すべきではないだろう。

そのひとつが、一連の経緯を最も知っているはずの大西康之・前厚労省政策統括官の口封じ”だ。

安倍官邸は根本厚労相に指示して、今月1日付で大西氏を大臣官房付とした。それを受けて、衆院予算委員会の自民党理事は、野党が要求する大西氏の委員会招致を拒否したのである。

国会で真相を解明するというのなら、自民党にも、大西氏から国会で話を聞きたくない理由はないはずだ。“キーマン隠し”と受け取られても仕方がない。真相が明らかになれば、安倍政権と自民党にとって、どんな不都合が生じるというのだろう。

そこで、あらためて目を凝らしたいのは、昨年1月から同統計調査のやり方を変えるまでの、背後の動きだ。安倍官邸が官僚たちの忖度を働かせていった形跡が見られる。その過程をじっくり辿ってみよう。

安倍首相は2015年9月24日の記者会見で「新三本の矢」と称するアベノミクス第2ステージの政策を発表した。そのさい、希望を生み出す強い経済をつくるとして、2020年にGDPを600兆円にする目標を掲げた。高すぎるハードルである。無理にでも数字を引き上げる必要に迫られたのではないだろうか。

それから間もない同年10月16日の経済財政諮問会議で麻生財務大臣はこう発言した。

私どもは気になっているのだが、統計についてである。(中略)毎月勤労統計については、企業サンプルの入れ替え時には変動があるということもよく指摘をされている。また、通販の額はものすごい勢いで増えているが、統計に入っていない。(中略)ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたい。

経済関係の統計データがアベノミクスの成果を示す内容になっていないことへの不満がこの麻生発言から読み取れる。

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