同じジャンルのモノを取り扱う店であっても、なぜここまで客層が違うのかという疑問、感じられたことはないでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で人気コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「スターバックスコーヒー」と「ドトールコーヒー」を例にあげ、そんな疑問に対する答えを探っています。
「スターバックス」と「ドトール」の違いは何?
コーヒーチェーン店であるスターバックスとドトールの違いをご存知でしょうか?
スタバは高くて、ドトールは安い?まずは価格の違いが浮かぶでしょう。
では、味はどうでしょう?スタバは美味しくて、ドトールは美味しくない?そんなことはありません。ドトールは、安くても充分に美味しい珈琲を提供しています。
確かにスタバは、訓練を積んだバリスタが、こだわりを持って珈琲を淹れてくれます。その手間を考えると、価格が高くなるのは仕方がありません。珈琲豆の品質面でも、スタバのこだわりは評価できます。
しかし、お客さまがその違いを本当にわかった上で、飲んでいるでしょうか。スタバのカップにドトールの珈琲を入れて、お客さまに出してみれば、その答えはすぐにわかります。よほど舌が敏感で、スタバに心酔している人でもない限り、ドトールの珈琲だとは気づかないはずです。
こうした実験は、過去に何度も行われていますが、人間の舌というものは、結構いい加減なものなのです。プロであるバリスタがいて、お店も高級感があり、価格もそれなりに高いスタバを“美味しい珈琲店”と感じているだけなのです。
感じた結果、「ゆったりとした空間で、本物の味を楽しみたい」と思う時に、スタバを利用しているのです。
ところが、それはお客さまが持つイメージでしかありません。つまり、舌の肥えたお客さまだけがスタバに集まっているわけではない、ということです。ドトールの珈琲でも、お店の雰囲気を高級感あるものに変えて、“プロっぽい店員”を演出すれば、高くてもお客さまは納得して利用してくれるのです。
ただし、ドトールの役割はそんなところにはありません。また、目指してもいません。“気軽に、安くて美味しい珈琲を楽しんでもらう”ことにあります。なので、お店や店員さんにお金を掛けるわけにはいかないのです。
すなわち、客層が違うということです。極端な言い方をすれば、お金があるか無いか。つまり、価格の違いでしかないのです。お客さまにとっては、同じ珈琲なのです。同じ珈琲なのに、その“売り方”によって、価値が変わってくるのです。
当然、プロ側からすれば、「まったく違う商品だ」と言うでしょうが、お客さまにはわからないもの。お客さまが求めているのは、珈琲ではなく、珈琲を楽しむ“時間”なのです。時間をどう演出するかが、お店の“売り”を決定するのです。
結論としては、スタバとドトールには、お客さまが持つイメージほど、味に差はないということです。
あるのは、売り方の違いだけです。
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