日本の真似してハイテク大国になろうとする中国の大きな勘違い

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激しさを増すばかりで着地点が皆目見えない米中の経済摩擦。その影響は二国間にとどまらず、世界各国に広がりつつあります。ジャーナリストとして数々のメディアで活躍中の嶌信彦さんは今回、自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、米中の対立を「貿易戦争」と「ハイテク派遣を巡る衝突」の2つの面から分析・考察しています。

中国・10の産業育成目指す

アメリカと中国の経済摩擦がだんだん激しさを増している。特に、まず貿易戦争だ。

中国の日常製品の品質はここ2、3年で急速に良くなっており、特にテレビなどの電気製品はコストが安く輸出の目玉商品になってきた。いまやアメリカの貿易赤字は8,787億ドルに達しているが、そのうち中国との貿易赤字は4,192億ドルと約半分を占める。このためアメリカは貿易赤字国に対し様々な対抗関税をかけ赤字縮小に努めているが、これまでおとなしかった中国が対抗してきた。最大25%の報復関税を課しこの関税報復合戦は商品の値上がりにつながり株価や為替の不安定化をもたらしている。

今後、アメリカは中国に対し、制裁措置としてさらに約,3000億ドル分の中国製品に最大25%の関税の付加を表明し、いまや世界貿易は生産や流通が世界的に拡大しているため金融市場などにも混乱が起きる可能性が出てきた。

もうひとつはハイテク覇権を巡る衝突だ。中国は2006年頃からハイテクに力を入れ始め、育成策として“自主創新”をスローガンに国産化運動に力を入れている。政府の投資ファンドに補助金を投入してアメリカの企業から技術供与を受けたり、サイバー攻撃で技術を盗んでいるとアメリカは警戒しているのだ。実際米司法省は14年に中国人民解放軍の将校ら5人を米企業6社へのサイバー攻撃で企業機密情報を盗んだとして起訴していた。

こうした事態の中で中国は2015年に製造業強化計画「中国製造2025」を発表した。これは次世代IT(情報技術)、ロボット、新エネルギー自動車、AI(人工知能)、ドローン、ビックデータなど10の産業を強化育成するとし

  1. 25年までに製造強国の仲間入りを目指す
  2. 35年には世界の製造強国の中位の水準となる
  3. 49年には世界の製造強国の先頭に立つ

──という工程表まで打ち出した。と同時に25年までに中間素材、部品、製造装置などの7割は中国国内で生産する、としている。

この過程で中国は海外からハイテク技術を導入して追い付こうとしているとアメリカはみているわけだ。このため安全保障上の懸念が生ずるとみて「ファーウェイ」や「ZTE」などから通話機器の調達と納入を禁じている。

中国はAIやドローン、ビッグデータ、クラウドなどの分野の競争力を高めている。これらをIoTの基盤となる高速大容量通信規格“5G”と結べば、中国のハイテク競争力は一挙に高まる。今後ハイテク覇権の争いが激化するとみているのはこうした現実が迫っているからだ。

日本がハイテク大国になったのは、まさにアメリカの技術をいち早く取り入れ、応用を効かせて国内需要に応じ、輸出に力を入れてきたためといえる。中国はその日本のやり方をそっくり取り入れようとしているのである。だからアメリカは、日本だけでなく、アメリカの技術が渡った国に対して全て網をかけ始めた

かつて日本はアメリカとの摩擦が激しくなると自ら規制してアメリカに恭順の意を表した。しかし中国は違う。国が産業政策を育成するのは国家社会主義・資本主義の構造的政策であり、これを曲げることは出来ないと主張している。まさに米中は政策調整を巡ってもガチンコ勝負になってきているのだ。

(電気新聞 2019年7月17日)

※追加情報

8月2日付けのロイターによると、トランプ米大統領は1日3,000億ドル相当の中国製品に対し10%の制裁関税を課すと発表し9月1日に発動する予定と報じられました。今回の措置では、携帯電話やラップトップコンピュータ、玩具や靴など幅広い消費財が関税の対象となり、米国が輸入する中国製品のほぼすべてが制裁関税の対象となります。

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