さまざまなビジネス用語が次々誕生する中、「エンゲージメント」というワードをよく耳にするようになりました。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが、エンゲージメントの意味と、なぜエンゲージメントを大切にする企業が増えてきたのかを解説しています。
あなたの会社への愛着心や思入れはどれくらい?
エンゲージメントという言葉をここ数年でよく耳にしたり目にしたりする機会が増えてきました。意味は「愛着心や思入れ」。
社内的には、社員、スタッフの会社や組織への愛着心や思い入れということを貢献度などから示したり、会社側からすれば働きやすい職場環境の提供や社員の成長をサポートし、貢献するというようなことで「会社と社員の繋がり」を意味します。一方、社外的には、お客さんや市場の会社や製品、ブランドに対する愛着心や思い入れ、ということになります。
今回は、社内的観点から「エンゲージメント」を考えてみましょう。
エンゲージメントが、近年注目されてきた背景は、時代・環境の変化によるものが大です。日本では長い間、終身雇用・年功序列が当たり前でしたが、近年は成果主義的な要素が強くなり、そのおかげで人材育成においても長期的な能力開発よりも、即戦力を求める企業が増え、直ぐに成果に結びつくような人財戦略が重視されるようになってきました。
こうした変化により働く人の会社に対する意識も変わりはじめ、より良い待遇や環境を求めて転職することに抵抗感が以前よりもなくなっていきました。特に優秀な人ほど上昇志向を強く持ち、キャリアやスキルアップに関心を持っていることが多いようです。その結果、多くの企業が人材流出という問題を抱えるようになりました。
さらに、人口減少社会ということもあり、年々採用活動を含め人材確保をするのが難しい時代になってきています。このような時代・環境の変化により、エンゲージメントに関心を寄せる企業が増えてきているのです。
具体的には、下記の2つのような大枠の考えを社員と共有している企業が増えています。
- 個人の成長、やりがいや働きがいを高める仕組みや制度などの環境が、より会社・組織の価値を高めていく
- 会社、組織の成長により、一層個人の成長や働きがい、モチベーションを高めていく
こうした関係が構築・維持できれば、人財流出を最小限に留めると共に業績にも期待を持つことができ、さらには会社と社員の成長を対等に考えるというマネジメントになるので一層の組織強化を図っていくことが出来ます。
その為には、社員・スタッフのエンゲージメントがどの程度なのか?を知り、高めていくことがキーとなります。例えば、社員がどの程度下記のようなことを感じているのか?を指標化し、その程度にあわせて、環境整備や人材育成を実践していきます。
- この会社で働いていれば自己実現に向かって成長できる
- 自己実現のために頑張ることが会社への貢献になる
など。会社と社員、社員と会社、その繋がりの意味するところを考え、共有することが、人財不足に悩むことがなくなる強い組織作りの第1歩となるのです。そして、人財育成は、一方的な教育ではなく繋がりをもって組織・会社も共に成長できる「共育」が重要なのです。
■今日のまとめ
「エンゲージメントを高める」
- 社員、スタッフのエンゲージメントを示す指標を考え作成する
- 経営ビジョンが、具体的に社員やスタッフの成長にも貢献できるものか?を考えてみる
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