情報発信の中身
【毎日】は29面社会面に、避難生活を送る千葉県民の取材記事とともに、東電の判断の甘さを指摘する記事を掲載。見出しには「東電判断甘く混乱」とある。
今回、東電が情報発信を急いだのは、経産省から早期の情報発信を求められたからだったという。世耕経産大臣(当時)は、停電直後から「ツイッターなどで積極的に情報発信を続けるように」との指示を出していて、東電はそれにしたがった形だという。
経産省が見通し公表を急がせた背景には、昨年の大規模停電(9月、関西で台風21号の影響によって延べ220万戸が停電した)の教訓があり、このとき、「関西電力は当初地域ごとの復旧見通しを示さず」、世耕氏によれば「非常に消費者のフラストレーションにつながった」と見ていたらしい。
これは妙な話。世耕氏はおそらく「見通しが判然とせず曖昧であってもとにかく発信し続けろ」と言った覚えはないと抗弁するだろうし、仮に大臣からそのような指示があったとしても、「分からないうちは出せません」と東電側が拒否すればいい。有用かつ必要な情報は、「正確な情報」のみだから、大臣が何と言おうと、分からないものは分からないはず。メドも立たない間、分からないうちは、ただ「分からない」という情報を出し続ける必要があったことになる。
通常の故障や事故で停電になっているのではない、尋常ならざる事態が生じているという状況認識がなぜ早期に得られなかったのか、この点こそ、十分な検証が必要だろう。
知恵を絞れ
【東京】は5面掲載の社説で、激甚化する自然災害への備えを説いている。タイトルは「長引く停電」「まさかの備え より強く」。
停電が広範囲に及んでいることについて、「強風で送電鉄塔2基が根元から折れ、電柱も多数損傷していることなどが原因だ。倒木を除去するなど復旧以前の作業にも想定より時間がかかっている」とする。
東電の見通しの甘さを批判しつつ、「温暖化で脅威を増す自然災害に負けない街をつくるため多面的な検証が求められる」として、最初に指摘するのは「電柱や送電鉄塔などの耐風性の基準」の強化。さらに、コストを抑える工夫をして「無電柱化」を進めるよう提案もしている。また、「各電力会社の送配電施設などの仕様共通化」をすれば、災害発生時の救援がしやすくなるだろうと。
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