基本方針にない休校要請に現場混乱。各紙はどう受け止めたのか?

 

「断固たる措置」

【読売】はやはり1面トップ記事の最後段に記者の解説的な部分があり、見出しは「拡大阻止へ 異例の決断」、書いているのは政治部の今井隆という記者だ。

記者は首相の要請について、「子供は重症化しにくいとされるものの、学校が感染者の相次ぐクラスターと化し、また次のクラスターを生み出す悪循環を阻止するため、断固たる措置をとった」と書いている。それでも、この要請が基本方針に書かれていたものではなかったことについては「ドタバタ感は否めない」とやや批判的なニュアンス。「政府の対策は後手に回っているとの批判が強まっており、挽回したいとの思惑も見え隠れする」とも。

uttiiの眼

《読売》政治部の記者にしては…という限定付きだが、バランスの取れた内容になっていて、「臨時休校をいきなり突きつけられた生徒や保護者に動揺が拡がっている」との気配りを見せるとともに、「影響を受けるひとり親や共働きの保護者らへの支援策などを早急に検討しなければならない」と政策パッケージの必要性を指摘。「一連の措置には、7月に東京五輪開幕を控え、日本が感染国とのイメージが定着する事態を避けようとする政府の強い意志も背景にあるようだ」との分析も。まあ、当たり前だけれど…。

首相による説明を

【毎日】は取材記者によるコメントの形ではなく、5面の社説で対応している。タイトルは「首相の全国休校要請」「混乱招かぬ対策が必要だ」。

「非常事態の対応とはいえ、国民生活への影響は免れない」というのが基本的な認識。首相の要請を是認しながら、悪影響を最小限にするよう求めている。

それでも、この要請の出され方については、大規模イベントの自粛要請と同様、政府の「基本方針」に含まれていない内容であって、「唐突すぎる」と批判。混乱を最小限にするためには首相が早期に詳しい説明をする必要があると言っている。

他紙と同様、共働きやひとり親家庭で、子供が小さい場合は1人で自宅に待機させることになり、その場合、子供の状態に合わせて仕事を休むか、自宅で働くなどの対応をするうえで、企業の協力が欠かせないとする。社説子が特に心配しているのは、非正規労働者のケース。「家にいることで給与を得られなくなれば、生活に困る面も出てくる」と。さらに「学習の遅れへの対応」や「学校を円滑に再開するための配慮」を求めている。

uttiiの眼

ひとり親、共働きの場合の非正規率は、労働者全体における比率4割を大きく上回っているはずだ。休業=収入減となるのは必定で、該当する家庭では困惑が拡がっている可能性が高い。まさに社説子が言うように、緊急に様々な手当を実施する必要があると思う。香港は18歳以上の市民700万人に1人14万円を支給することで、様々なシーンで困難を抱えることになる市民への手当をしているそうだが、参考になるはずだ。

print
いま読まれてます

  • 基本方針にない休校要請に現場混乱。各紙はどう受け止めたのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け