基本方針にない休校要請に現場混乱。各紙はどう受け止めたのか?

 

文科省は「実施困難」と…

【東京】は少なくとも今朝の紙面で、記者のコメントや社説などによる「首相要請」への評価は行っていない。飽くまで、取材対象に語らせるやり方になっているので、社会面の記事を紹介することにしよう。27面。見出しを以下に。

保護者「仕事休めず」
年度末 教諭ら対応苦慮
新型肺炎 突然の休校要請
障害ある子は 低学年は
「留守番できない子も」
文科省「現場を考えていない」

東京・板橋区の40歳のパート女性は小学1年の長男の居場所がなくなるとして、仕事は休めず、仮に休めても給料は保証されないと困惑。遊び場もなく、長男は「どこで何をして過ごせばいいのか」と途方に暮れているという。品川区の共働きの36歳男性会社員も小学2年生の長男を日中ずっと1人で過ごさせるのは難しく、「仕事を休むか両親に頼るしかない」と話している。北海道石狩市の会社員は、重度の知的障害がある小学5年の娘について、「特別支援学校の他にも、利用している放課後デイサービスが一部閉鎖され」たといい、困っているという。

記事には、首相要請を知った文科省省内の驚きの様子が描かれている。ニュースが流れると担当職員らは総立ちになり、テレビの前に駆け寄ったという。官邸サイドからは一斉休校の打診を受けていたというが、文科省としては「実施困難」と伝えていたのだという。

uttiiの眼

社会部の取材の範囲では、「要請」に対する否定的な反応がほとんどになるのは当然だろう。問題の当事者であるひとり親や共働きのケースでは「仕方がない」という反応はあり得ないからだ。

想像するに、少なくとも今日の段階では、《東京》としては「首相の大英断」は勿論、非常時なので仕方がないというような「物分かりのいい」態度は取りたくないと考えたのかも知れない。実際、各自治体の反応が出てみないことには、要請通りにワークするものかどうかさえ分からず、逆に、要請に従う自治体が少なければ、首相の政治的責任を問う声さえ高まる可能性があるだろう。この政策、まだどっちに転ぶか分からない。

image by: shutterstock

内田誠この著者の記事一覧

ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

有料メルマガ好評配信中

  メルマガを購読してみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 uttiiの電子版ウォッチ DELUXE 』

【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

print
いま読まれてます

  • 基本方針にない休校要請に現場混乱。各紙はどう受け止めたのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け