新型コロナの逆境に抗う、オリエンタルランドの収益力と資金力

 

装置産業でありながら変動費の割合が高い理由

このような結果に対し、意外に感じる方は多いのではないでしょうか。
オリエンタルランドが営むビジネスは、テーマパーク事業とホテル事業の2つで、どちらも装置産業です。鉄道、航空、スポーツクラブ、劇場などにも共通して言えますが、多額の設備投資が必要な分、固定費の割合が高いビジネスです。

固定費の割合が高いビジネスは、「稼働率」が重要なKPIとなります。稼働率が上がり、売上高の上昇トレンドになれば、利益の伸び率が高く、多額に稼ぐことができるという特徴があります。しかしその反面、売上高が下降トレンドになると、多額の固定費負担が重くのしかかり、利益に大きなマイナス影響を与えます。

オリエンタルランドは、広大な土地に巨大なアトラクション装置を豊富に取り揃える装置産業ビジネスの典型と言えます。そのため、固定費の割合が高く、不況耐性が低いというイメージがあります。

しかし、テーマパーク事業の売上高の内訳を見ると、装置産業的な姿が影を潜めます。なんと、商品販売と飲食販売の合計が全体の55%を占めるのです。

オリエンタルランド_図3

言われてみれば確かにそうで、ディズニーランドに行ったとき、チケット代よりも、お土産品やレストランなどの飲食に、多額にお金を使っている人が多いのではないでしょうか。

これらグッズや飲食の販売に対応する売上原価は、売上高の増減に比例的に発生するコスト、すなわち変動費です。もちろん、レストランの人件費や厨房設備などの減価償却費は固定費なので全額ではありませんが、グッズの仕入れ高や食材費など、売上原価の中の大部分が変動費といえます。

これら変動費は、この休園期間中は発生しないコストです。売上高がゼロであれば、変動費もゼロなので、売上減少による利益への影響はほぼありません。このように、オリエンタルランドは装置産業でありながら、変動費の要素を多く含んでいるコスト構造のため、安全余裕率が高く保たれているのです。

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