だから潰れる。アパレル「在庫持つな」「原価率下げろ」の時代遅れ

 

素材開発と計画生産

コロナ禍の中でも、ユニクロとワークマンは比較的好調である。ユニクロ、ワークマンと一般アパレルの何が違うのだろうか。

ユニクロ、ワークマンは独自の素材開発を行い、計画生産をしている。素材開発をするには、店頭展開の一年前からスタートしなければならない。適正なリードタイムを確保しないと開発はできないのだ。

一般アパレルは、できるだけリードタイムを短縮し、引きつけてから生産することを考える。そうなると、生地屋が在庫している「あり生地」から選ぶことになる。「あり生地」を使うと、競合他社からも同じ生地の製品が出てくる。差別化するには、トレンドに対応した製品デザインに依存するしかない。

ユニクロ、ワークマンは素材で差別化しているので、製品デザインはベーシックでも良い。そして、ロングセラーで販売するならば、セールで見切る必要もない。

コロナ禍で店や工場が閉まっても、ベーシックなアイテムの在庫があれば商売を継続できる。逆にいえば、半年で売り切るMD計画では必ず不良在庫が残るのだ。

店舗販売では視覚的な差別化が重要だし、ショップ全体のブランドの統一感が重要になる。従って、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)が重視される。

ネット販売は、ブランド表現よりも、単品販売に向いている。スペックや機能が重視され、素材の差別化が重要になる。製品デザインはシンプルな方が顧客の幅も広がるだろう。

私はコロナ禍を機に、ベーシックな素材をデザインで差別化するのではなく、素材や機能で差別化し、ベーシックなテザインで勝負すべきと考えている。そして、販売期間を長く設定し、ある程度の在庫は持って商売する方が有利だろう。コロナ禍で在庫の持ち方、MDの考え方、差別化ポイント等が全て変わるのである。

print
いま読まれてます

  • だから潰れる。アパレル「在庫持つな」「原価率下げろ」の時代遅れ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け