なぜ足が付いた?ゴーン氏の脱出費用1.5億円「ビットコイン支払い」の盲点

 

2019年6月6日付

「『仮想通貨』の呼称を『暗号資産』に変更する改正資金決済法などが、国会で成立した。国際的な表記に合わせる。」として、《読売》社説は、「たとえ革新的な金融技術が使われているとしても、実態はマネーゲームの道具である。もはや通貨とは呼べない。」と“決別宣言”でもするかのような言い切り。

2020年1月29日付

「デジタル通貨 中銀は議論尽くし知見共有を」と題する社説で、《読売》は「中銀デジタル通貨が、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と違うのは、ドルや円と同じ法定通貨という点である。暗号資産のような、国家や中銀が制御できない民間のマネーが広まると、中銀による金融政策の効力がそがれるほか、資金洗浄や脱税に悪用される懸念がある。」として、いわば攪乱された金融世界の救世主として、中銀デジタル通貨に「期待」を寄せている。

*さらに、民間銀行などの「デジタル円の検討会」設立の動きについても期待して…。

2020年6月3日付

「3メガバンクやJR東日本などがデジタル円の検討会を設立するのは、早期導入に向けた議論を活発にさせる狙いがある。米フェイスブック(FB)による「リブラ」や中国の「デジタル人民元」への警戒感から、日本でも中央銀行のデジタル通貨の発行を求める声が急速に高まっている」と。

*その後、身代金要求型サイバー攻撃やゴーン被告逃亡に絡んでビットコインが登場。会津大で日本初のデジタル地域通貨の運用開始など。

2021年1月29日付

「中国当局がデジタル通貨の発行を急ぐ狙い」についての記事で、中国人民銀行の副総裁が強調したのは「ビットコインのほか、米フェイスブックが計画を主導する「ディエム」(旧リブラ)などの暗号資産(仮想通貨)による「侵食」を阻止し、デジタル経済の発展のための基本通貨を投入する必要がある」という点だったと。

2021年2月1日付

北朝鮮からの脱北者がサイバー部隊の養成システムについて取材に応じた。その中であるサイバー部隊要員から聞かされた話として…。彼らは「目的は知らされず、ひたすらプログラミングを習い、行き着いたのがビットコインのハッキングだった」という。

*そして、テスラが投資したことで相場が急上昇したことなど、きょうの記事の内容につながる情報が伝えられている。

●uttiiの眼

国家権力に依存せず、国家の枠を超えて価値の移動を可能にするツールとしてスタートした暗号資産の技術が、次第に国家によって取り込まれ、覇権争いにも利用されてきたと評すべきなのであろうか。間違いないのは、そのことに最も熱心なのが中国であり、デジタル人民元は、暗号資産や他国のデジタル通貨を掣肘し、やがて米国から「覇権」を奪取するツールとして威力を発揮する…そんな可能性があるのだろうか。

ところで、ゴーン被告関係では1つの疑問が浮かぶ。ゴーン被告の息子が逃亡を手助けした2人に対してビットコインで多額の支払いをしたことは、なぜ発覚したのか。

簡単に「足が付く」のであれば、犯罪への悪用は難しい。既に、身代金要求型のハッカー攻撃の結果として多額の身代金がビットコインの形で世界中を飛び交っているのだとしたら、違いはどこにあったのか。

image by : shutterstock

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