消費者のせいにするな。食品を偽装するのは企業や生産者の「甘え」だ

 

よく、規格外の野菜が売れないことの理由として、「曲がったキュウリを嫌がる消費者にも原因がある」と言われますが、本当にそうなのでしょうか。野菜を選ぶ主婦を観察していると、実のしっかりしたもの、新鮮そうなものを選んでいるように見えます。カタチの悪い野菜を避けているようには思えないのですが。

この件に関しても、生産者側がお客さまのせいにしているようにも思えます。

まっすぐなキュウリを選り分けている理由は、「運送コスト」に他なりません。曲がったキュウリは箱に入れにくく、たくさん詰め込めないので、荷物が大きくなり、コストが高くなるです。まっすぐなキュウリなら、整然と並べることができ、箱にたくさん入ります。すなわち、コストが安くなるから、まっすぐなキュウリだけを流通させるのです。決して、お客さまが望んでいるわけではないのです。

食品偽装に関しても、「バナメイエビは嫌で、芝海老なら食べたい」とは思っていません。「津軽地鶏なら食べるけど、ロード・アイランド・レッドはいらない」とも思わないのです。「海老とイカのクリスタル炒め」「鶏のマリネ イタリア風」とメニューにあり、美味しければ、それで納得して帰って行くのです。リピーターにもなってくれます。美味しいかどうかが問題であって、食材のブランドは関係ないのです。

確かに、2つのメニューを見比べて、どちらかのお店を選択する場合なら、食材のブランドに惹かれるかもしれませんが、そんなシチュエーションはほとんどありません。“美味しそう!”と思えるお店を選ぶだけです。美味しそうだと判断する基準は、料理名であったり、写真であったり、口コミだったりします。つまり、結局は美味しい料理を作っているかどうかなのです。消費者が本物を求めるとか、ブランドでなければダメだ、というのは、まったく根拠のない言い訳です。

偽装のすべての理由は、「利益追求」です。儲けるために嘘をついている。ただ、それだけのことなのです。

お客さまのせいにするな、と言いたい。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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