コロナ第4波対策、専門家が勧める「マスク素材」は?ウレタン、アベノ役に立たず

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ワクチン先進国の状況を鑑みても、まだしばらくは続くと思われる新型コロナウイルスを警戒する生活。だからこそ私たち一人ひとりが、コロナに対する正しい知識を再確認することが重要となってくるようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、感染症対策の第一人者が最新刊で発表した「マスク素材別の粒子除去性能」を取り上げるとともに、そこから導き出される日常的に用いるべきマスクのタイプを紹介。さらに癌治療の名医による「新型コロナに罹りにくい身体を作る食事法」についても、週刊誌の記事を引く形で掲載しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年7月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

今更ですが「マスク」についてもう一度/西村秀一医師の話に耳を傾けよう!

IOCのバッハ会長が着けているマスクは、「N95」クラスの医療用の高性能マスクのようだが、これは感染リスクが極めて高い医療現場で医師や看護師などが用いるもので、息苦しくて長時間にわたり用いることは難しい。患者や一般人には、医療用のサージカルマスクや普通の不織布マスクがむしろ適している。バッハがN95を着けているのは、自分は最高級のものを選ぶのだという見栄のためかもしれないが、意味のないことではある。

布やウレタンはダメ

西村秀一=国立仙台医療センター・ウイルスセンター長は、米CDCや日本の感染症研究所で研究に従事した後、2000年から現職にあるインフルエンザはじめ呼吸器系ウイルス感染症対策の第一人者で、マスクについて「これが意外に奥深い。何が良くて何がいけないのか、正しい知識を持って、ぜひマスクの達人になるように」と語っている(『もうだまされない 新型コロナの大誤解』〔幻冬社、21年6月刊〕)。

彼が行った実験によると、素材ごとの飛沫防止効果の違いは図〔写真「マスク素材別の粒子除去性能」〕のとおりである(同書P.124)。

N95は確かに、最小の0.3~0.5μm〔マイクロメートルは1,000の1ミリメートル〕の粒子でも95%を防ぐことができるのに対し、サージカルマスクは、その最小粒子ではほんの少し劣るものの他は同等かそれ以上の性能がある。驚くのは一般的な不織布で、最小粒子ではさらに劣って90%程度の防御率になるものの、全体としてはサージカルマスクに近い性能を持っているということである。この3者では「大きな飛沫粒子を除去する能力には、あまり差がみられなかった。小さな粒子ではやや差は見られたが、それでも、きちんとした不織布マスクであれば、一般の人の日常生活なら十分と思われる性能を持っていることが明らかになった」(西村、P,125)。

もっと驚くのは、それ以外の、布(ガーゼ)マスク、ポリエステルマスク、ポリウレタンマスクの性能の低さである。ポリウレタンに至っては「富岳のシミュレーション結果では、吐き出し飛沫量で50%、吸い込み飛沫量で30~40%を除去するとされていたが、私の研究室の実験では、5μmより小さい粒子は1%以下の除去率しかなかった」ので、「自分を守るにはまったく無力で、周囲を守るのにも多分ほとんど役に立たない」。使い道は?1つだけあって、不織布マスクの上から着けて密着性を補強することである。

布(ガーゼ)のいわゆる「アベノマスク」もお話にならない成績で、こんなものを260億円もかけて全戸配布した安倍政権のバカさ加減に改めて腹が立つ。

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